お気に入りのキャラクターが手のひらサイズになった「ねんどろいど」。
その愛らしい姿に惹かれて、集めている方も多いのではないでしょうか。しかし、長く飾ったり保管したりする中で、ねんどろいどの材質について疑問が湧くこともあるでしょう。
主な素材であるねんどろいど PVCについて、PVC素材は有害ですか?と心配になったり、PVCの欠点は何ですか?と気になったりするかもしれません。
また、PVCは何年くらい使えますか?という寿命に関する疑問や、改造や修理でねんどろいど 接着剤はどれを使えばいいのか迷うこともあります。
さらに、保管していたフィギュアを取り出した際に、ねんどろいどがベタベタするのはなぜですか?と驚いた経験はありませんか。
この悩ましいベタつきを前に、フィギュアのべたつきはウェットティッシュで取れる?、あるいは、ねんどろいどはアルコール消毒できますか?と考える方もいるかもしれませんが、それは大切なフィギュアを傷めてしまう原因になりかねません。
この記事では、そんな悩みを解決するために、ねんどろいどのベタつきはどうやって落とすの?という具体的な対処法から材質の基本まで、あなたの疑問に一つひとつ丁寧にお答えしていきます。
- ねんどろいどの主な材質であるPVCの特徴と注意点
- 材質の経年劣化によって起こるベタつきの原因
- ベタつきを除去するための正しい手入れ方法
- 長く大切に保管するためのメンテナンスのコツ
ねんどろいどの材質の基本!PVCとはどんな素材?
- ねんどろいどは主にPVCとABSで構成
- PVC素材は有害ですか?安全性について
- PVCの欠点は何ですか?変形や劣化に注意
- PVCは何年くらい使えますか?寿命の目安
- 改造や修理に使うねんどろいどの接着剤の種類
ねんどろいどは主にPVCとABSで構成

ねんどろいどのフィギュアは、主に「PVC(ポリ塩化ビニル)」と「ABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン)」という2種類のプラスチック素材を組み合わせて作られています。
キャラクターの柔らかな肌や髪の毛、衣装といった部分には、弾力性があり加工しやすいPVCが使われることが大半です。温めると柔らかくなり、冷えると硬くなる性質を持っているため、複雑な曲面を持つパーツの成形に適しています。
一方で、武器や小物、関節のジョイント部分など、硬さや強度、そしてシャープな造形が求められる箇所にはABSが用いられます。ABSは耐久性が高く、変形しにくいという特徴があり、フィギュアのポージングを支える重要な役割を担っているのです。
このように、それぞれの素材が持つ長所を活かし、適材適所で使い分けることによって、ねんどろいど特有の可愛らしいデザインと、着せ替えやポージングを楽しめるプレイバリューが実現されています。

PVC素材は有害ですか?安全性について
フィギュアの主な素材であるPVCと聞くと、その安全性について不安に思う方もいるかもしれません。
しかし、国内で正規に販売されているねんどろいどのような玩具は、日本の玩具安全基準(ST基準)をはじめとする厳しい安全基準をクリアしています。
これらの基準では、素材から有害な化学物質が溶け出さないかといった点が厳しくチェックされているのです。そのため、フィギュアを舐めたり口の中に入れたりしない限り、普通に手で触れて飾って楽しむ上で、健康に悪影響を及ぼす心配はほとんどないと考えてよいでしょう。
ただし、注意点もあります。PVC素材は、燃やすと有害なガスが発生する可能性があります。フィギュアを処分する際は、お住まいの自治体が定める分別ルールを必ず確認し、適切に処理することが大切です。
PVCの欠点は何ですか?変形や劣化に注意

多くの利点を持つPVC素材ですが、いくつかの欠点も存在します。
最も注意すべきなのは、熱、紫外線、そして時間の経過による劣化です。PVCには素材の柔軟性を保つために「可塑剤(かそざい)」という化学物質が添加されています。この可塑剤が、PVCの劣化に大きく関係しているのです。
熱による変形
PVCは熱に弱い性質を持っています。
夏の暑い車内や暖房器具の近く、直射日光が当たる窓際などに長時間置いておくと、パーツが柔らかくなり、自重で歪んだり曲がったりしてしまうことがあります。
紫外線による変色
日光や蛍光灯の光に含まれる紫外線は、PVCを化学的に変化させ、変色(特に黄ばみ)を引き起こす原因となります。
透明パーツが曇ったり、肌色が黄色っぽくなったりするのは、主に紫外線の影響です。

可塑剤によるベタつき
前述の通り、PVCに含まれる可塑剤は、時間の経過と共に少しずつ気化していきます。
密閉された空間では気化した可塑剤の逃げ場がなくなり、再び液化してフィギュアの表面に付着します。これが、長期間保管したフィギュアに見られる「ベタつき」の正体です。

PVCは何年くらい使えますか?寿命の目安
「PVC製のねんどろいどは、一体何年くらい持つのか」という点は、コレクターにとって非常に気になる部分だと思います。これに対する明確な答えはありませんが、寿命は「保管環境に大きく左右される」と言えます。
PVCの劣化を促進する主な要因は、高温、多湿、そして紫外線です。これらの要因を徹底的に避けることで、フィギュアの寿命を大幅に延ばすことが可能です。
具体的には、直射日光や蛍光灯の光が直接当たらない、風通しの良い涼しい場所で保管することが理想とされます。このような良好な環境で管理すれば、10年以上にわたって美しい状態を保つことも決して不可能ではありません。
逆に、前述したような車内や窓際といった劣悪な環境では、わずか1~2年で目に見える劣化が始まってしまうこともあります。ねんどろいどの寿命は、オーナーの日々の管理によって決まると考えておきましょう。

改造や修理に使うねんどろいどの接着剤の種類

破損してしまったパーツの修理や、オリジナルの改造を行う際に必要となるのが接着剤です。しかし、素材に合わないものを使うと、うまく付かなかったり、パーツを溶かしてしまったりする危険があります。
ねんどろいどに使用される主な接着剤の種類と特徴を理解し、用途に合わせて選びましょう。
接着剤の種類 | メリット | デメリット・注意点 |
プラスチック用接着剤 | 表面を溶かして接着するため強力 | はみ出すとパーツが溶けて跡になる、位置の微調整が難しい |
瞬間接着剤(ゼリー状) | 手軽で速乾性があり、位置調整がしやすい | 衝撃に弱い傾向がある、接着剤の周囲が白くなる「白化現象」が起きることがある |
エポキシ接着剤 | 接着強度が高く、硬化後はパテのように隙間を埋められる | 2つの液を混ぜる手間がかかる、完全に硬化するまでに時間がかかる |
ABSパーツのしっかりとした接着にはプラスチック用接着剤、PVCパーツの簡単な接着や細かいパーツの取り付けにはゼリー状の瞬間接着剤が便利です。
より強度が必要な場合や、自作パーツとの組み合わせにはエポキシ接着剤が適しています。いずれの接着剤を使用する場合も、まずは目立たない部分で試してから本番の作業に移ることをお勧めします。


ねんどろいどの材質の劣化と正しい手入れ方法
- ねんどろいどがベタベタするのはなぜですか?
- ねんどろいどのベタつきはどうやって落とすの?
- ウェットティッシュでフィギュアのべたつきは取れる?
- 注意!ねんどろいどはアルコール消毒できますか?
- まとめ:ねんどろいどの材質を理解し大切に扱おう
ねんどろいどがベタベタするのはなぜですか?

久しぶりに箱から出したねんどろいどが、油を塗ったようにベタベタしていて驚いた経験を持つ方は少なくないでしょう。これは製品の不良や汚れではなく、PVC素材の特性によって引き起こされる現象です。
前述の通り、PVCを柔らかく保つために添加されている「可塑剤」という油性の物質が、時間の経過とともに気化し、フィギュアの表面に染み出してくることが直接的な原因です。
特に、購入時のブリスターパックに入れたままなど、長期間にわたって密閉された環境で保管していると、気化した可塑剤が空気中に拡散されず、再び液化して表面に付着しやすくなります。
つまり、ベタつきは「風通しの悪い場所に長期間置かれていたサイン」とも言えるわけです。これは素材の性質上、ある程度は避けられない現象ですが、適切な対処法を知っていれば、元のサラサラな状態に戻すことが可能です。
ねんどろいどのベタつきはどうやって落とすの?
フィギュア表面のベタつきの正体は油性の可塑剤ですから、これを除去するには洗浄が最も効果的です。最も安全で推奨される方法は、家庭にある食器用の中性洗剤を使った洗浄です。
中性洗剤を使った洗浄手順
- まず、洗面器などにぬるま湯(30~40度程度)を溜め、食器用の中性洗剤を数滴溶かして洗浄液を作ります。
- ねんどろいどを髪、顔、胴体、手足といったパーツに分解できる範囲で分解し、洗浄液に浸します。
- 柔らかいスポンジや、細かい部分には毛先の柔らかい筆などを使って、塗装を傷つけないように優しく撫でるように洗います。強くこする必要はありません。
- 洗い終わったら、洗剤成分が残らないように、流水で丁寧にすすぎます。
- 最後に、清潔なタオルの上にパーツを並べ、ホコリが付かないように注意しながら、風通しの良い場所で完全に自然乾燥させます。ドライヤーの熱風は変形の原因になるため、絶対に使用しないでください。
ほとんどのベタつきは、この方法で綺麗に落とすことができます。

ウェットティッシュでフィギュアのべたつきは取れる?

手軽さから、ベタつきをウェットティッシュで拭き取ろうと考える方もいるかもしれません。しかし、この方法はフィギュアを傷めてしまうリスクが非常に高いため、避けるべきです。
多くのウェットティッシュ、特に「除菌」や「消毒」を謳う製品には、アルコール成分が含まれています。アルコールはフィギュアの塗装を溶かしてしまう作用があり、拭いた部分の色が剥げたり、光沢が失われたりする原因となります。
また、ノンアルコールの製品であっても、界面活性剤や香料など、塗装にどのような影響を与えるか分からない化学物質が含まれている可能性があります。
一時的にベタつきが取れたように感じられても、塗装面を傷つけ、より深刻なダメージを与えてしまうことになりかねません。フィギュアの手入れには、基本的にウェットティッシュは使用しないと覚えておきましょう。
注意!ねんどろいどはアルコール消毒できますか?
この問いに対する答えは、明確に「できません」です。前項のウェットティッシュの話と重なりますが、アルコール類をねんどろいどに使用することは絶対に避けてください。
消毒用エタノールや、それを含む除菌シート、さらにはマニキュアを落とす除光液(アセトン)といった溶剤は、フィギュアの塗料を簡単に溶かしてしまいます。
せっかくの繊細な塗装が滲んだり、剥がれたりするだけでなく、PVCやABSといった素材自体を脆くさせ、ひび割れなどの原因になる可能性も否定できません。
中古で購入したフィギュアの衛生面が気になる場合でも、アルコールでの消毒は厳禁です。汚れやベタつきが気になる場合は、あくまで基本に立ち返り、中性洗剤とぬるま湯で優しく洗浄する方法を選択してください。
大切なコレクションを守るためにも、化学薬品の使用は慎重になる必要があります。
まとめ:ねんどろいどの材質を理解し大切に扱おう

この記事では、ねんどろいどの材質に関する基本的な知識から、経年劣化によるベタつきの対処法、そして正しいメンテナンス方法について解説しました。
最後に、重要なポイントを改めてまとめます。
- ねんどろいどの主な材質は柔軟なPVCと硬質なABS
- 各素材の特性を活かしてキャラクターが造形されている
- 正規品の玩具は安全基準を満たしており通常の使用では無害
- PVCの主な欠点は熱や紫外線による変形と変色
- 素材に含まれる可塑剤が経年劣化とベタつきの原因
- ベタつきは製品不良ではなくPVC素材の特性上の現象
- フィギュアの寿命は保管環境によって大きく左右される
- ベタつきの除去には中性洗剤での洗浄が最も安全で効果的
- 洗浄後は洗剤をしっかりすすぎ、完全に自然乾燥させることが大切
- アルコール成分を含むウェットティッシュの使用は塗装を傷める
- 消毒用エタノールなども素材を劣化させるため絶対に使用しない
- 破損修理には素材に合った接着剤を選ぶことが重要
- 保管場所は高温多湿と直射日光を避けた冷暗所が理想
- 長期間の密閉保管はベタつきを促進するため避けた方が良い
- 材質の正しい知識を持つことがコレクションを長く楽しむための鍵