フィギュアの色褪せ対策|原因と防止法、修復まで完全解説

フィギュアの色褪せ対策|原因と防止法、修復まで完全解説

お気に入りのフィギュアをケースから出してみたら、なんだか色が薄くなっている…そんな経験はありませんか?フィギュアの色褪せは、コレクターにとって非常に悲しい問題です。

今回の記事では、大切なフィギュアの色褪せに関する様々な疑問にお答えします。そもそもフィギュアの日焼けはなぜ起きるのか、その色褪せの原因は何か、そして日焼けを防ぐには具体的にどうすれば良いのか。

紫外線対策にどこまで神経質になるべきか、日光を遮るカーテンの選び方、色褪せしにくいLED照明への交換、便利な劣化防止スプレーの活用法まで、色褪せ防止の全てを網羅します。

また、肌色の変色や、日焼けがどれくらいの期間で進行するのかといった気になるポイントから、万が一色褪せてしまった場合の修復方法に至るまで、詳しく解説していきます。この記事を読めば、あなたのフィギュアライフがより充実したものになるはずです。

記事のポイント
  • フィギュアが色褪せる根本的な原因
  • 今日から実践できる具体的な色褪せ防止策
  • 照明やカーテンなど環境を整える方法
  • 万が一色褪せた場合の修復の可否
    目次

    フィギュアの色褪せはなぜ起きる?その原因を解説

    • フィギュアの色褪せの原因は?
    • フィギュアが日焼けするのはなぜ?
    • 日焼けはどれくらいの期間で起きるのか
    • 要注意!気づきにくい肌色の変色
    • 紫外線対策に神経質になる必要はある?

    フィギュアの色褪せの原因は?

    フィギュアの色褪せの原因は?

    フィギュアの色褪せが起こる原因は一つではありませんが、最大の要因は「紫外線」です。これは直射日光だけでなく、室内の蛍光灯からも微量に放出されています。紫外線がフィギュアの塗料に含まれる色素の化学結合を破壊することで、本来の色を保てなくなり、色が薄くなったり変わったりする現象、これが色褪せの正体です。

    また、紫外線以外にも注意すべき要因はいくつかあります。

    一つは「熱」です。特に夏場の閉め切った部屋や、熱を発する電化製品の近くは高温になりやすく、フィギュアの素材であるPVC(ポリ塩化ビニル)を軟化させ、変形や塗装の劣化を引き起こす可能性があります。

    さらに、タバコの煙に含まれる「ヤニ」や、人の手に含まれる「皮脂」などの化学物質も大敵です。これらが表面に付着したまま放置されると、塗料と化学反応を起こして変色やベタつきの原因となります。

    このように、複数の要因が複合的に絡み合って色褪せや劣化は進行します。そのため、どれか一つだけ対策するのではなく、総合的な視点で保管環境を見直すことが、フィギュアを長く美しく保つための鍵となります。

    フィギュアが日焼けするのはなぜ?

    フィギュアが「日焼け」するという表現をよく使いますが、これは人間の日焼けとはメカニズムが異なります。人の肌は紫外線から身を守るためにメラニン色素を生成して黒くなりますが、フィギュアは自らを守る機能を持っていません。

    前述の通り、フィギュアの日焼けの正体は、塗料に含まれる「色素」が紫外線エネルギーを吸収し、化学構造が破壊・変化してしまう化学反応です。

    色素は、特定の波長の光を吸収し、残りの光を反射することで私たちの目に色として認識されます。しかし、紫外線によって色素の分子構造が変わってしまうと、これまでとは異なる波長の光を反射するようになり、結果として「色が褪せた」「色が変わった」と認識されるのです。

    この化学反応は不可逆的なものであるため、一度日焼けして失われた色を元に戻すことは、塗装を修復する以外に方法がありません。

    特に、赤や黄色といった特定の色の顔料は、紫外線の影響を受けやすいとされています。大切なフィギュアを日焼けから守るためには、この化学反応が起こる原因である紫外線を、いかにフィギュアに到達させないかが最も重要なポイントになります。

    日焼けはどれくらいの期間で起きるのか

    日焼けはどれくらいの期間で起きるのか

    フィギュアの日焼けがどれくらいの期間で目に見えるようになるかは、保管されている環境によって大きく異なります。

    最も条件が悪いのは、直射日光が常に当たる窓際です。このような場所に置いてしまうと、早ければ数ヶ月から半年程度で、はっきりと色の変化が認識できるようになる可能性があります。特に、元々箱に入っていた部分と露出していた部分とで色の差がくっきりと出てしまうことも珍しくありません。

    一方、直射日光は当たらないものの、明るい部屋で蛍光灯の光を日常的に浴びているような環境では、変化はより緩やかに進行します。1年や2年では大きな変化に気づかないかもしれませんが、5年、10年という長いスパンで見ると、新品の状態と比較して明らかに彩度が落ちていたり、全体的に白っぽくなっていたりすることがあります。

    日焼けの進行は非常にゆっくりとしたものであるため、毎日見ているとなかなか変化に気づきにくいのが厄介な点です。しかし、劣化は確実に進んでいます。だからこそ、「まだ大丈夫だろう」と油断せず、できるだけ早い段階から対策を講じることが、将来的な後悔を防ぐために不可欠です。

    要注意!気づきにくい肌色の変色

    フィギュアの劣化の中でも、特にコレクターを悩ませるのが「肌色の変色」です。カラフルな衣装部分の色褪せとは少し異なり、キャラクターの命とも言える肌の色が、本来の色味から黄色っぽく、あるいは茶色っぽく変わってしまう現象を指します。

    この変色の主な原因は、フィギュアの素材として広く使われているPVC(ポリ塩化ビニル)に含まれる「可塑剤(かそざい)」という物質が関係しています。可塑剤は、硬いプラスチックであるPVCを柔らかくし、フィギュア特有のしなやかな質感を生み出すために添加される物質です。

    この可塑剤が、時間の経過や熱、紫外線の影響によって気化し、フィギュアの表面に染み出してきます。これがフィギュアの「ベタつき」の原因であり、染み出した可塑剤が空気中の様々な物質と反応したり、それ自体が酸化したりすることで、塗料を変質させ、特にデリケートな肌色部分の変色を引き起こすと考えられています。

    特に、購入時の箱に入れたまま長期間密閉状態で保管すると、気化した可塑剤の逃げ場がなくなり、かえって変色やベタつきを促進させてしまうことがあります。肌色の変色は一度起こると修復が非常に困難なため、予防が何よりも大切です。

    紫外線対策に神経質になる必要はある?

    紫外線対策に神経質になる必要はある?

    「紫外線が原因なら、徹底的に光を遮断しないとダメなのか」と、過度に心配になる方もいるかもしれません。もちろん、美術館の収蔵品のように完璧な環境で保管するのが理想ですが、個人で楽しむ上では、あまり神経質になりすぎる必要はない、というのも一つの考え方です。

    重要なのは、リスクの大きさを理解し、バランスの取れた対策を行うことです。

    最大の敵は、繰り返しになりますが「直射日光」です。これは短時間でも強力なダメージを与えるため、絶対に避けなければなりません。窓際に飾るのは論外と言えるでしょう。

    次にリスクが高いのが、室内照明である「蛍光灯」です。蛍光灯からも紫外線は放出されていますが、その量は直射日光に比べればごくわずかです。ただし、フィギュアのすぐ近くで長時間つけっぱなしにするような状況は、長期的には色褪せの原因となり得ます。

    生活する上で必要な時間だけ点灯するのであれば、過度な心配は不要ですが、ディスプレイのために常時点灯させるような場合は、後述するLED照明への切り替えを検討するのが賢明です。

    結論として、無対策は論外ですが、日常生活を犠牲にするほどの完璧な暗室管理までは求められません。「直射日光は絶対に避ける」「蛍光灯の長時間照射は避ける」という2点を基本に、ご自身の環境やライフスタイルに合わせて、できる範囲で対策を積み重ねていく姿勢が大切です。

    今日から始めるフィギュアの色褪せ対策

    • フィギュアの日焼けを防ぐには?
    • 効果的な色褪せ防止の基本
    • 日光を遮るカーテンの選び方
    • 部屋の照明を色褪せに強いLEDにする
    • 便利な劣化防止スプレーの活用法
    • もし色褪せたら修復はできるのか

    フィギュアの日焼けを防ぐには?

    フィギュアの日焼けを防ぐには?

    フィギュアの日焼けを防ぐための対策は、突き詰めると「紫外線をいかに遮断するか」という一点に集約されます。そのための具体的なアプローチは複数あり、これらを組み合わせることでより高い効果が期待できます。

    まず基本となるのが、フィギュアを飾る「場所」の選定です。家のどの部屋、どの位置に飾るかを考えるのが対策の第一歩となります。

    飾る場所の原則

    直射日光が差し込む窓際は絶対に避けてください。たとえ日中は日が当たらない北向きの部屋であっても、時間帯によっては光が差し込む可能性があります。また、西日も強烈な紫外線を含んでいるため注意が必要です。部屋の中で、一日を通して直射日光が当たらない壁際などを選ぶのが基本です。

    さらに、高温多湿もフィギュアの劣化を早める要因となります。エアコンの風が直接当たる場所や、キッチン、脱衣所などの湿気がこもりやすい場所、熱を発する家電の近くも避けるべきです。風通しの良い、温度変化の少ない場所が理想的と言えます。

    これらの物理的な対策を基本とし、さらにUVカット機能を持つアイテムをプラスしていくことで、鉄壁の防御体制を築くことができます。

    効果的な色褪せ防止の基本

    フィギュアの色褪せ防止策の基本であり、最も効果的な方法の一つが「コレクションケース」に入れて飾ることです。

    ケースに入れることで、色褪せの直接的な原因である紫外線だけでなく、ホコリやタバコのヤニ、不意の接触による破損など、様々な劣化要因からフィギュアを守ることができます。ホコリは放置すると湿気を吸って固着し、カビや変色の原因となるため、物理的に遮断できるメリットは非常に大きいです。

    コレクションケースには様々な種類がありますが、色褪せ防止を最優先に考えるのであれば「UVカット機能」が付いた製品を選ぶのが最善の選択です。アクリル製やガラス製のケースには、紫外線を90%以上カットすると謳われている製品が多く存在します。

    すでにケースを持っている場合は、後付けで貼ることができる「UVカットフィルム」を利用するのも良い方法です。これはケースだけでなく、フィギュアを飾っている部屋の窓ガラスに貼ることも可能で、部屋全体に入る紫外線を軽減する効果が期待できます。

    ケースに入れることは、フィギュアを美しくディスプレイするという観賞目的と、劣化から守るという保存目的を両立させる、最も合理的で基本的な対策と言えるでしょう。

    日光を遮るカーテンの選び方

    日光を遮るカーテンの選び方

    部屋に差し込む日光をコントロールすることは、フィギュア保護の観点から非常に重要です。そのための最も手軽なアイテムがカーテンですが、選び方には少しコツがあります。

    一般的に「遮光カーテン」と「UVカットカーテン」は混同されがちですが、その役割は異なります。

    遮光カーテン

    遮光カーテンは、その名の通り「光を遮る」ことを目的としたカーテンです。遮光率によって1級から3級までの等級があり、1級が最も遮光性が高くなっています。部屋を暗くすることには長けていますが、製品によってはUVカット機能が付いていない場合もあるため注意が必要です。光は遮っても、紫外線は透過している可能性があるのです。

    UVカットカーテン

    一方、UVカットカーテンは「紫外線をカットする」ことに特化しています。レースカーテンにこの機能を持つ製品が多く、可視光線はある程度通すため部屋の明るさを保ちつつ、有害な紫外線だけを軽減することができます。

    理想的なのは、UVカット機能のあるレースカーテンと、遮光性の高いドレープカーテンを組み合わせて使用することです。これにより、日中はレースカーテンで紫外線を防ぎつつ部屋の明るさを保ち、日差しが強い時間帯や不在時には遮光カーテンを閉めて、光と紫外線の両方を強力にブロックするという使い分けが可能になります。

    部屋の照明を色褪せに強いLEDにする

    直射日光と並んで警戒すべき室内の紫外線源が「蛍光灯」です。これを、フィギュアに優しい「LED照明」に切り替えることは、非常に効果的な色褪せ対策となります。

    蛍光灯とLEDの最大の違いは、光る仕組みにあります。蛍光灯は、管内部で発生させた紫外線が、管の内側に塗布された蛍光体に当たって可視光線に変換されることで光ります。この仕組み上、どうしても微量の紫外線が外部に漏れ出てしまいます。

    対してLEDは、電気を直接光に変える半導体素子であるため、原理的に紫外線をほとんど放出しません。また、光の波長に熱をあまり含まない(赤外線の放出が少ない)という特徴もあり、熱によるフィギュアへのダメージも軽減できるというメリットもあります。

    照明の種類紫外線の量熱の放出量特徴
    太陽光(直射日光)非常に多い非常に多い最大の劣化要因。絶対に避けるべき。
    蛍光灯微量に含むやや多い長時間照射は色褪せの原因に。
    LED照明ほとんど含まない非常に少ないフィギュアのディスプレイに最も適している。

    初期費用は蛍光灯に比べて高くなりますが、長寿命で消費電力も少ないため、長い目で見れば経済的です。フィギュアを飾っている部屋や、コレクションケース内の照明をLEDに切り替えることは、大切なコレクションの価値を守るための賢い投資と言えるでしょう。

    便利な劣化防止スプレーの活用法

    便利な劣化防止スプレーの活用法

    フィギュア本体に直接コーティングを施し、紫外線や傷から守るという方法もあります。そのために使われるのが、模型用のトップコートスプレーなどの「劣化防止スプレー」です。

    これらのスプレーにはUVカット成分が含まれているものが多く、フィギュアの表面に吹き付けることで紫外線を防ぐ保護膜を形成します。手軽に紫外線対策ができる点が大きなメリットです。

    スプレーの種類と特徴

    トップコートスプレーには、主に「光沢」「半光沢」「つや消し(マット)」の3種類があります。フィギュアの元の質感に合わせて選ぶのが基本です。例えば、キャラクターの肌や布製の服にはつや消し、メカやアーマーの金属部分には光沢といった使い分けをすることで、質感を損なわずに保護できます。

    使用上の注意点

    手軽な一方で、使用には注意も必要です。吹き付けに失敗すると、液だれや「白かぶり(湿気が多い日にスプレーすると表面が白く曇る現象)」が起きて、かえってフィギュアの見栄えを損なう可能性があります。また、一度吹き付けると基本的には除去できないため、実行する際は自己責任となります。

    使用前には必ず目立たない部分で試す、換気の良い場所で作業する、一度に厚吹きせず薄く何度も重ね塗りするなど、基本的な塗装の知識と技術が求められます。手軽さとリスクを天秤にかけ、慎重に検討すべき選択肢の一つです。

    もし色褪せたら修復はできるのか

    一度色褪せてしまったフィギュアを、元の状態に完全に修復することは非常に困難です。しかし、部分的な色褪せや塗装の剥がれであれば、自分で「リタッチ(部分塗装)」を施して目立たなくさせることは可能です。

    これは、プラモデルの塗装に近い作業であり、ある程度の技術と知識、そして道具が必要になります。

    修復に必要な道具

    修復には、フィギュア用の塗料(ラッカー系、アクリル系、エナメル系など)、細い面相筆、塗料を混ぜるためのパレット、うすめ液などが必要です。元の色を忠実に再現するために、複数の色を混ぜ合わせて「調色」する作業が最も重要かつ難しいポイントとなります。

    修復の手順

    まず、修復したい箇所の色を、塗料を混ぜ合わせて慎重に作ります。作った色は、フィギュアの目立たない部分(足の裏など)で試し塗りをして、乾いた後の色味を確認します。色が合っていることを確認できたら、色褪せた部分に筆で薄く塗り重ねていきます。

    もし落下などで塗装が剥がれて凹凸ができている場合は、塗装の前に「パテ」で傷を埋め、ヤスリで表面を滑らかに整える作業が追加で必要になります。

    この修復作業は、あくまで最終手段であり、失敗のリスクも伴います。フィギュアの価値を大きく損なう可能性もあるため、実行する際は慎重な判断が求められます。自信がない場合は、無理に手を出さず、現状を受け入れるか、プロのモデラーに依頼することも検討しましょう。

    総まとめ!後悔しないフィギュアの色褪せ対策

    この記事で解説してきた、フィギュアを色褪せから守るための重要なポイントを以下にまとめます。

    • フィギュアの色褪せの最大の原因は紫外線
    • 紫外線は直射日光だけでなく蛍光灯からも放出される
    • 熱やホコリ、タバコのヤニも劣化の要因となる
    • 日焼けは色素の化学構造が破壊される化学反応
    • 一度色褪せると自力での完全な修復は困難
    • 直射日光が当たる場所には絶対に飾らない
    • 対策の基本はUVカット機能付きのコレクションケース
    • 窓にはUVカットレースカーテンと遮光カーテンを併用する
    • 部屋の照明を紫外線を含まないLEDに交換するのが理想
    • 未開封での長期保管は可塑剤による変色リスクを高める
    • フィギュアに触る際は手垢に注意する
    • UVカット効果のある保護スプレーも有効な手段の一つ
    • スプレーの使用は失敗リスクも伴うため慎重に
    • 部分的な色褪せはリタッチ塗装で修復できる可能性も
    • 複数の対策を組み合わせることが最も効果的
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