大切なフィギュアを美しい状態で長く楽しむためには、適切な保管方法が欠かせません。しかし、フィギュアを長期保管するにはどうすれば良いのか、悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
特に日本の夏はフィギュア保管にとって厳しく、エアコンなしの環境では湿度管理が一層難しくなります。フィギュア保管における湿度の問題は、コレクターにとって永遠の課題です。
フィギュアの保管は未開封のままでも安心はできず、気づけばカビが発生していたという失敗や後悔の声も少なくありません。そうなると、カビの取り方まで考えなければならなくなります。
そこで注目されるのが、フィギュアの保管における乾燥剤の活用です。
ただ、シリカゲルは安全ですかという基本的な疑問から、100均のケースと乾燥剤で十分なのか、あるいは劣化防止スプレーと併用すべきかなど、具体的な方法については分からないことが多いでしょう。
この記事では、そうした疑問を解決するために、フィギュアの保管に乾燥剤をどう活用すれば良いのか、基本的な知識から具体的な対策まで詳しく解説します。
- 乾燥剤を使った正しいフィギュアの保管方法
- 湿気やカビからフィギュアを守るための具体的な対策
- 100均グッズなどを活用したコストを抑えた保管術
- 長期保管における注意点と劣化を防ぐコツ
フィギュア保管における乾燥剤の基本的な役割
- フィギュア保管で重要な湿度の管理
- 万が一のカビの取り方と再発防止策
- シリカゲルは安全ですか?使用上の注意点
- フィギュア保管ケースは100均でも代用可能?
- フィギュア保管は未開封のまますべき?
フィギュア保管で重要な湿度の管理

フィギュアを最適な状態で保管するためには、湿度の管理が極めて大切になります。一般的に、美術館などで文化財を保存する際の適正湿度は55~65%とされており、これはフィギュア保管においても一つの目安と考えることができます。
なぜなら、湿度が高すぎる環境は、フィギュアに様々な悪影響を及ぼすからです。例えば、湿気が多いとカビが発生しやすくなります。
カビは一度生えてしまうと完全な除去が難しく、塗装面を侵食して大切なコレクションに恒久的なダメージを与えてしまう可能性があります。また、フィギュアの素材に含まれる可塑剤という成分が湿気と反応し、表面がベタつく原因にもなります。
一方で、過度に乾燥させすぎるのも問題です。湿度が低すぎると、フィギュアの樹脂素材が水分を失い、ひび割れや塗装の剥がれを引き起こすことがあります。
このように、高すぎても低すぎてもフィギュアにとっては良くないため、一定の湿度を保つ「調湿」という考え方が鍵となります。特に湿度の変動が激しい梅雨の時期や夏場は、意識的な湿度管理がフィギュアの寿命を左右すると言えるでしょう。
万が一のカビの取り方と再発防止策
どれだけ注意していても、保管環境によってはフィギュアにカビが発生してしまうことがあります。万が一カビを発見した場合は、ダメージを最小限に食い止めるため、迅速かつ丁寧に対処することが求められます。
カビの除去方法
まず、カビの除去には、アルコール成分が含まれていないウェットティッシュや、きめの細かい柔らかい布を使用します。アルコールは塗装を溶かしてしまう危険性があるため、必ず成分を確認してください。
表面を傷つけないよう、力を入れずに優しく拭き取っていきます。
細かい部分のカビは、綿棒や柔らかいブラシを使うと取り除きやすいです。それでも落ちない頑固なカビの場合は、中性洗剤をぬるま湯で薄めたものを含ませた布で拭く方法もありますが、これは塗装に影響を与えるリスクを伴います。
実行する際は、まずフィギュアの裏側など目立たない部分で試してから、自己責任で行う必要があります。
再発防止策
カビを取り除いた後は、再発防止策を徹底することが何よりも大切です。カビが発生したということは、その保管環境に問題がある証拠です。
まず、フィギュアを保管しているケースや棚の内部を清掃し、しっかりと乾燥させます。そして、保管場所の風通しを良くすることを心がけてください。
月に1~2回、ケースの扉やクローゼットを開けて空気を入れ替えるだけでも効果があります。さらに、新しい除湿剤や乾燥剤を設置し、定期的に交換することを習慣づけましょう。これらの対策を講じることで、カビが再発するリスクを大幅に減らすことが可能です。
シリカゲルは安全ですか?使用上の注意点

シリカゲルは、フィギュア保管における湿気対策として最も手軽で一般的な乾燥剤です。適切に使用すればフィギュアにとって安全で効果的なアイテムですが、使い方を誤るとかえって劣化を招く可能性もあるため、いくつかの注意点を理解しておく必要があります。
シリカゲルの最大のメリットは、その高い吸湿力でケース内の湿度を下げ、カビの発生を抑制してくれる点です。しかし、注意すべき点として、シリカゲルの粒がフィギュアに直接触れないようにすることが挙げられます。
シリカゲルの表面は硬くザラザラしているため、接触するとフィギュアの塗装面に微細な擦り傷をつけてしまう恐れがあります。使用する際は、ガーゼや不織布の小袋に入れるなど、ワンクッション置く工夫をしましょう。
もう一つの注意点は、「過乾燥」のリスクです。湿気を防ぎたいからといって大量のシリカゲルを入れると、ケース内が乾燥しすぎてしまい、前述の通り、フィギュア本体のひび割れや塗装の劣化につながることがあります。
何事も適量が肝心です。ケースのサイズに合った量の乾燥剤を使用し、湿度計を置いて実際の湿度を確認しながら調整するのが理想的です。
フィギュア保管ケースは100均でも代用可能?
フィギュアをホコリや外部からの衝撃から守るために、収納ケースは必須アイテムです。近年では100円ショップでも様々なサイズや形のプラスチックケースが販売されており、手軽な保管方法として人気があります。
100均のケースを活用する最大のメリットは、何と言ってもそのコストパフォーマンスの高さです。コレクションが増えても費用を抑えながら整理整頓できるのは大きな魅力と言えます。ホコリ除けという基本的な役割は十分に果たしてくれます。
ただし、長期的な保管を考えた場合、デメリットや注意点も存在します。まず、多くの100均ケースは完全な密閉構造ではないため、湿気が侵入しやすい傾向にあります。
そのため、ケース内に乾燥剤を併用することが必須となります。また、UVカット機能は備わっていないため、窓際など直射日光が当たる場所に置くと、フィギュアの日焼けや色褪せを防ぐことはできません。
したがって、100均のケースは、直射日光の当たらない場所で、乾燥剤と組み合わせて使うという条件下であれば、有効な選択肢となります。
しかし、より完璧な状態でフィギュアを保護したいのであれば、UVカット機能や密閉性を備えたフィギュア専用のコレクションケースを選ぶ方が安心です-。
フィギュア保管は未開封のまますべき?

フィギュアを「未開封」の状態で保管するか、「開封」して飾るかは、コレクターにとって大きな悩みどころです。特に将来的な価値を考慮すると、未開封のまま保管したいと考える方は少なくありません。
未開封保管の最大のメリットは、新品同様の状態が保たれ、付属品の欠品や紛失のリスクがないことです。もし将来的に売却を考えた場合、未開封品は開封品に比べて高値で取引される傾向が強く、資産価値を維持しやすいと言えます。
しかし、未開封だからといって劣化しないわけではない、という点が重要な注意点です。むしろ、未開封の箱の中は空気が密閉され、流れが滞りがちです。
これにより、フィギュアの素材から気化した可塑剤が箱の中に充満し、逃げ場を失って再びフィギュアの表面に付着し、ベタつきを引き起こす原因となります。
また、箱の内部に湿気がこもりやすく、気づかないうちにカビが発生しているケースも珍しくありません。これらのリスクを避けるためには、未開封品であっても、保管場所の温度と湿度を適切に管理することが不可欠です。
通気性の良い冷暗所に保管し、除湿剤を近くに置くなどの対策が求められます。価値を維持するための未開封保管が、かえってフィギュアの劣化を早めてしまう可能性もあることを理解しておく必要があります。
フィギュア保管で乾燥剤を効果的に使う方法
- フィギュアを長期保管するには何が必要か
- 特に湿気が多いフィギュア保管の夏対策
- エアコンなしの環境での湿度管理
- 劣化防止スプレーを併用するメリット
- フィギュア保管と乾燥剤選びのポイント
フィギュアを長期保管するには何が必要か

大切なフィギュアを何年、何十年という単位で美しく保管するためには、単に乾燥剤を入れるだけでなく、総合的なアプローチが必要となります。
フィギュアの長期保管を成功させるためには、「環境の安定化」「定期的なメンテナンス」「適切な物理的保護」という3つの要素が鍵を握ります。
環境の安定化
フィギュアにとって最も良くないのは、温度や湿度の急激な変化です。年間を通して温度と湿度ができるだけ一定に保たれる場所を選ぶことが理想です。
具体的には、直射日光が当たらず、風通しの良い冷暗所が適しています。自宅での管理が難しい場合は、空調設備が整った屋内型トランクルームの利用も有効な選択肢となります。
定期的なメンテナンス
一度保管したら終わりではなく、定期的にフィギュアの状態を確認する習慣が大切です。少なくとも半年に一度はケースから取り出し、ベタつきや変色、カビなどが発生していないかチェックしましょう。
このタイミングで、効果が薄れた乾燥剤を新しいものに交換することも忘れてはなりません。
適切な物理的保護
フィギュアを収納する際には、パーツの破損を防ぐための配慮も必要です。細く繊細なパーツや、重量のあるパーツには、緩衝材を使って支えを作るなどの工夫が有効です。
また、複数のフィギュアを一つの箱に詰め込む際は、フィギュア同士が接触して色移りしないよう、一体ずつ薄紙や緩衝材で包むことをお勧めします。
特に湿気が多いフィギュア保管の夏対策
日本の夏は、高温多湿というフィギュアにとって最も過酷な季節です。気温の上昇は素材の変形を促し、高い湿度はカビやベタつきのリスクを著しく高めます。この時期を乗り切るためには、特別な対策が求められます。
最も効果的な対策は、エアコンや除湿機を積極的に活用することです。室温が30度を超えるような環境は、フィギュアの変形にとって非常に危険です。
エアコンの除湿(ドライ)機能や冷房を使い、室温と湿度を安定させることが理想的です。24時間稼働させる必要はありませんが、特に気温がピークになる日中の時間帯だけでもタイマー運転を設定すると良いでしょう。
また、空気の循環も重要です。サーキュレーターや扇風機を使って部屋の空気を動かすことで、湿気が一箇所に滞留するのを防ぎます。フィギュアを置いている棚やクローゼットに向けて風を送るだけでも、カビの発生リスクを低減できます。
これらの機器の使用と並行して、クローゼットやケース内には吸湿力の高い除湿剤を設置します。特にタンクタイプの除湿剤は、溜まった水の量で効果が目に見えて分かるため、夏の間の湿度管理には便利です。
エアコンなしの環境での湿度管理

住環境によっては、エアコンが設置されていない部屋でフィギュアを保管せざるを得ない場合もあるでしょう。そのような状況でも、工夫次第で湿度を管理し、フィギュアへのダメージを軽減することは可能です。
エアコンがない環境での湿度対策の基本は、「換気」と「除湿剤の徹底活用」です。まず、空気の流れを作ることが何よりも大切になります。
天気の良い乾燥した日には、窓や扉を二方向以上開けて、部屋全体の空気を入れ替えることを習慣にしてください。サーキュレーターや扇風機があれば、窓に向けて回すことで効率的に室内の湿った空気を外に排出できます。
次に、除湿剤を戦略的に配置します。フィギュアを保管しているクローゼットや押し入れ、棚の中はもちろんのこと、部屋の四隅など、空気が滞留しやすい場所にも設置しましょう。
特に湿気は下に溜まりやすい性質があるため、棚の最下段や床に近い場所に置くと効果的です。さらに、フィギュアを保管しているクローゼットや押し入れの扉を、常に少しだけ開けておくのも有効な方法です。
完全に密閉された空間は湿気の逃げ場がなくなり、カビの温床となりやすいため、わずかな隙間でも空気の通り道を作ってあげることが重要になります。

劣化防止スプレーを併用するメリット
フィギュアの劣化要因は湿気や熱だけではありません。紫外線もまた、塗装の色褪せや変色を引き起こす大敵です。この紫外線対策として、市販されているUVカット機能付きの劣化防止スプレーを併用する方法があります。
メリット
劣化防止スプレーの最大のメリットは、フィギュアの表面にUVカット効果のある透明な膜を形成し、紫外線によるダメージを軽減できる点です。紫外線は直射日光だけでなく、室内の蛍光灯の光にも含まれています。
そのため、ケースに入れずにディスプレイしているフィギュアや、UVカット機能のないケースを使用している場合に特に有効な対策となります。
デメリットと注意点
一方で、使用には注意も必要です。まず、スプレーを均一に吹き付けるには技術が要り、ムラになったり液だれしたりすると、かえってフィギュアの見た目を損なう可能性があります。
また、フィギュアの素材(PVC、ABSなど)とスプレーの溶剤の相性が悪いと、塗装を溶かしたり表面を傷めたりする危険性があります。
使用する前には、必ずフィギュアの足の裏など、目立たない部分で試し吹きを行い、問題がないことを確認してから全体に塗布するようにしてください。
劣化防止スプレーはあくまで紫外線対策の一環であり、湿気や熱による劣化を防ぐ効果はないため、基本的な保管環境を整えた上での補助的な手段と位置づけるのが適切です。
フィギュア保管と乾燥剤選びのポイント

この記事のポイントをまとめます。
- フィギュア保管の最適湿度は55~65%が目安
- 湿度が高すぎるとカビやベタつきの原因になる
- 乾燥させすぎるとひび割れのリスクがある
- 乾燥剤は湿気対策の基本アイテム
- シリカゲルはフィギュアに直接触れないように使う
- ケース内の換気を月1~2回行う
- 未開封品も箱内で劣化する可能性がある
- 夏場はエアコンや除湿機での湿度管理が効果的
- エアコンがない場合は換気と除湿剤の設置を徹底する
- 100均ケースは短期保管やホコリ除けには使える
- 長期保管にはUVカット機能のある専用ケースが望ましい
- カビを発見したらすぐにノンアルコールティッシュで除去する
- 劣化防止スプレーは紫外線対策の補助として有効
- 定期的な状態確認と乾燥剤の交換を忘れない
- 大切なフィギュアを守るには総合的な環境管理が鍵となる