大切なフィギュアが壊れてしまい、接着剤で修理したものの、意図しない場所にはみ出してしまった経験はありませんか。フィギュアの接着剤の剥がし方を誤ると、塗装が剥げたり、フィギュア本体を傷つけたりする失敗や後悔につながりかねません。
この問題に対処するため、この記事では、固まった接着剤を溶かすにはどうすれば良いか、接着剤のはみ出しや跡をどう処理すべきかについて詳しく解説します。また、アロンアルファのような瞬間接着剤や、ゴム系接着剤を除去するにはどうすればいいかといった種類別の対処法も網羅しています。
さらに、フィギュアの分解で接着剤を剥がす方法から、修理に最適で接着剤が白くならないおすすめのタイプ、そしてダイソーなどで手軽に入手できる製品の選び方まで、フィギュアの接着剤に関するあらゆる疑問にお答えします。
この記事を読めば、あなたも大切なフィギュアを綺麗に修復できるはずです。
- 固まった接着剤を溶かすための具体的な方法
- はみ出しや跡を綺麗に除去するためのコツ
- フィギュア修理におすすめの接着剤の種類と選び方
- 接着剤が白くなる現象を防ぐための予防策
状況別のフィギュアの接着剤の剥がし方
ここでは、状況に応じたフィギュアの接着剤の剥がし方について解説します。
- 固まった接着剤を溶かすにはどうする?
- アロンアルファなど瞬間接着剤の落とし方
- 接着剤のはみ出し部分をきれいにする方法
- 残ってしまった接着剤の跡を消すには
- フィギュア分解時の接着剤の外し方
- ゴム系接着剤を除去するにはどうすればいい?
固まった接着剤を溶かすにはどうする?

固まってしまった接着剤を除去するには、主に「熱を加える」「専用のリムーバーを使う」「物理的に削り取る」という3つの方法が考えられます。どの方法を選択するかは、接着剤の種類やフィギュアの素材によって変わるため、状況に合わせた判断が求められます。
最も手軽なのは、熱を利用する方法です。特に、多くのフィギュアで使われているPVC(塩化ビニル)素材は熱で柔らかくなる性質を持っています。
ドライヤーの温風を当てたり、80度程度のお湯に浸けたりすることで、接着剤だけでなくフィギュア自体も軟化し、剥がしやすくなります。ただし、過度に熱するとフィギュアが変形する恐れがあるため、様子を見ながら慎重に行う必要があります。
次に、化学的に溶かす方法として、接着剤専用のリムーバーを使用する手段があります。これは強力な方法ですが、フィギュアの塗装まで溶かしてしまうリスクを伴います。使用する際は、まずフィギュアの底面や内側など、目立たない部分で試してから、問題がないことを確認した上で作業を進めるのが賢明です。
最後の手段は、物理的に削り取る方法です。デザインナイフのカンナがけや、サンドペーパー(紙やすり)を使って接着剤の部分だけを丁寧に削り落とします。
この作業を行う際は、周辺のパーツを傷つけないようにマスキングテープで保護することが鍵となります。最初は1000番程度の少し粗い番手で削り、徐々に細かい番手に変えていくと、表面を滑らかに仕上げられます。
アロンアルファなど瞬間接着剤の落とし方
アロンアルファに代表されるシアノアクリレート系の瞬間接着剤は、非常に強力で速乾性があるため、一度付着すると落とすのが難しいです。
しかし、適切な方法を知っていれば、きれいに除去することが可能です。主な方法としては、専用のリムーバーを使用するか、お湯で時間をかけてふやかす方法が挙げられます。
専用リムーバーを使用する方法
市販されている「アロンアルフアはがし隊」のような瞬間接着剤専用リムーバーは、主成分であるアセトンが硬化した接着剤を溶かすため、最も効果的な手段と言えます。
使い方は、リムーバーを綿棒や布に少量取り、除去したい部分に優しく塗布して拭き取る作業を繰り返します。ただし、前述の通り、アセトンはプラスチックや塗装を溶かす作用があるため、注意が必要です。
フィギュアの目立つ部分に使用すると、塗装が剥げたり表面が溶けて質感が変わったりする可能性があります。必ず、フィギュアの目立たない箇所で試し塗りを行い、影響がないか確認してから使用してください。
お湯を使用する方法
フィギュア本体へのダメージを最小限に抑えたい場合は、お湯を使う方法がおすすめです。40度程度のぬるま湯にフィギュアを15分以上浸けておくと、接着剤が少しずつふやけて柔らかくなります。
その後、指や爪楊枝などで優しくこすることで、少しずつ剥がし取ることができます。この方法は時間がかかりますが、化学薬品を使わないため、塗装へのダメージが少なく、比較的安全な手段と考えられます。
特に、誤って指に付着してしまった場合にも、このお湯で揉みほぐす方法が有効です。
接着剤のはみ出し部分をきれいにする方法

フィギュアの修理中に接着剤がはみ出してしまうと、見た目を大きく損なう原因となります。はみ出しへの対処は、接着剤が固まる前か後かで方法が異なります。
接着剤がまだ固まっていない液体、あるいはゼリー状のうちに対処するのが最も理想的です。ゼリー状の接着剤であれば、爪楊枝の先端などで絡め取るように除去できます。
液体状の場合は、ティッシュペーパーをこより状にして、毛細管現象を利用して吸い取ると、周囲に広げずにきれいに取り除けます。この段階で対処できれば、フィギュアへのダメージはほとんどありません。
もし接着剤が硬化してしまった場合は、より慎重な作業が求められます。少量のはみ出しであれば、デザインナイフの刃を立てて表面を薄く削る「カンナがけ」という技法で除去できる場合があります。また、サンドペーパーで削り取る方法も有効ですが、周囲を傷つけないよう、マスキングテープでの保護が不可欠です。
瞬間接着剤を使用した場合、硬化促進剤の影響などで接着面の周りが白くなる「白化現象」が起きることがあります。この白い粉は、専用リムーバーで拭き取ることが可能ですが、塗装面を傷めるリスクを伴うため、最終手段と考えた方が良いでしょう。
残ってしまった接着剤の跡を消すには
接着剤を剥がした後に、ベタつきや曇ったような跡が残ってしまうことがあります。この跡をきれいに消すには、表面を整える作業が必要になります。
まず試したいのは、接着剤リムーバーを染み込ませた布で軽く拭き取ることです。しかし、これは塗装を傷める可能性が高いため、再塗装を前提とした場合に有効な手段です。もし塗装を維持したいのであれば、物理的に研磨する方法が主体となります。
具体的には、まず1000番から1500番程度の目の細かいサンドペーパーで、跡が残っている部分を優しく磨きます。このとき、円を描くように動かすのではなく、一定方向に軽くヤスリがけをすると、傷が目立ちにくくなります。
その後、2000番以上のさらに細かいサンドペーパーやスポンジヤスリで表面を滑らかに整えます。最後の仕上げとして、模型用のコンパウンド(研磨剤)を使い、柔らかい布で磨き上げることで、プラスチック表面のツヤを回復させ、接着剤の跡を目立たなくさせることが可能です。
この一連の作業は根気が必要ですが、丁寧に行うことで、修理跡がほとんど分からないレベルまで仕上げられます。
フィギュア分解時の接着剤の外し方

フィギュアの改造やリペイントを行う際、パーツを分解する必要がありますが、多くのフィギュアは製造段階で接着剤によって固定されています。この接着剤を安全に外すための最も基本的な方法は、お湯で温めることです。
ほとんどのフィギュアの素材であるPVCは熱に弱く、温められると柔らかくなります。同時に、パーツを固定している接着剤の接着力も熱によって弱まるため、比較的簡単にパーツを分解できるようになります。
具体的な手順としては、まず耐熱性のボウルなどに80〜90度のお湯を用意します。そこに分解したいフィギュアのパーツを数分間浸けます。
このとき、火傷をしないように必ず厚手のゴム手袋などを着用してください。フィギュアが十分に温まり、柔らかくなったらお湯から取り出し、パーツの分割線(パーティングライン)に沿って、ゆっくりと力を加えて引き離します。
もし手で外しにくい場合は、パーツの隙間にデザインナイフの刃先やマイナスドライバーを慎重に差し込み、てこの原理で少しずつこじ開けていきます。
ただし、力を入れすぎるとパーツが破損したり、工具の跡が残ったりする原因になるため、あくまで優しく、少しずつ作業を進めることが大切です。
ゴム系接着剤を除去するにはどうすればいい?
ゴム系接着剤は、その名の通りゴムを主成分とし、乾燥後も弾力性を保つ特徴があります。このタイプの接着剤を除去するには、有機溶剤を使用するのが一般的です。
具体的には、ベンジンやラッカーシンナー、塗料うすめ液といった溶剤を布や綿棒に少量含ませ、接着剤に塗布して溶かしながら拭き取ります。ゴム系接着剤はこれらの溶剤に弱いため、比較的簡単に溶解させることが可能です。
しかし、これらの有機溶剤は非常に強力であり、フィギュアの素材であるプラスチック(PVCやABS樹脂)そのものを溶かしてしまう危険性が極めて高いです。
そのため、フィギュアに付着したゴム系接着剤の除去に安易に使用することは推奨されません。また、換気を十分に行わないと気分が悪くなるなど、人体への影響も懸念されます。
より安全な代替案としては、物理的に取り除く方法があります。硬化したゴム系接着剤は弾力があるため、カッターナイフで慎重に削ぎ落としたり、まとまった部分をピンセットでつまんで引き剥がしたりできる場合があります。
また、消しゴムでこすることで、表面の接着剤を絡め取れることもあります。いずれにせよ、フィギュアへの使用はリスクを伴うため、慎重な判断が求められます。
フィギュアの接着剤の剥がし方以外の注意点
接着剤をきれいに剥がす知識も大切ですが、そもそも失敗しないための選び方や使い方を知っておくことも同様に重要です。
- フィギュア修理におすすめの接着剤とは
- 接着剤が白くならないためのコツ
- ダイソーで買えるフィギュア用接着剤
- まとめ:フィギュアの接着剤の剥がし方の要点
フィギュア修理におすすめの接着剤とは

フィギュアの修理に適した接着剤を選ぶことは、きれいで丈夫な仕上がりを実現するための第一歩です。数ある接着剤の中でも、フィギュアの修理には「粘度の高いゼリー状の瞬間接着剤」が最もおすすめできます。
水のようにサラサラとした低粘度の液体タイプは、塗布した箇所から垂れたり、意図しない隙間に流れ込んだりしやすく、はみ出しの原因となります。その点、ゼリー状の接着剤は粘度が高いため、塗布した場所に留まり、作業が非常にしやすいのが特徴です。
また、硬化までに数秒の猶予があるタイプを選ぶと、パーツの位置や角度を微調整できるため、接着の失敗を減らせます。速乾性が高すぎるものは、一度貼り合わせると修正が効かないため、細かい作業には向きません。
さらに、接着剤が乾燥した後の色も重要な選択基準です。乾燥後に白く濁るタイプは修理箇所が目立ってしまいます。仕上がりをきれいにするためには、硬化後も無色透明になる製品を選びましょう。
接着剤の種類 | メリット | デメリット | 主な用途 |
ゼリー状瞬間接着剤 | 液だれしにくく扱いやすい、位置の微調整が可能 | 液体タイプより硬化がやや遅い | パーツの接着、軸打ち |
液体状瞬間接着剤 | 隙間への流し込みに便利、速乾性が高い | 液だれしやすく、はみ出しやすい | 亀裂の補修、パーツの合わせ目消し |
エポキシ接着剤 | 接着力・耐久性が非常に高い、充填効果がある | 2液を混ぜる手間がかかる、硬化に時間がかかる | 大きなパーツの接着、欠損部の造形 |
プラスチック用接着剤 | PE・PP素材も接着可能(プライマー使用) | プライマーの塗布と乾燥に時間がかかる | 特殊な素材のフィギュア修理 |
接着剤が白くならないためのコツ
瞬間接着剤を使った際に、接着した部分の周りが白く粉を吹いたようになってしまう「白化現象」。
これは、気化した接着剤の成分(モノマー)が空気中の水分と急速に反応し、微細な粒子となってフィギュアの表面に付着することで発生します。この現象を防ぐには、いくつかのコツがあります。
最も効果的な対策は、「硬化促進剤」を併用することです。硬化促進剤をあらかじめ接着面の片側に塗布しておくか、接着後にスプレーすることで、瞬間接着剤が一瞬で硬化します。これにより、モノマーが気化して広がる前に固まるため、白化現象を大幅に抑制できます。
また、接着剤の塗布量を最小限にすることも大切です。接着剤は多ければ多いほど接着力が増すわけではなく、むしろ硬化不良やはみ出しの原因となります。塗布量は「10円玉大の面積に1滴」が目安です。つけすぎは白化のリスクを高めるだけでなく、接着強度を低下させることにもつながるので注意しましょう。
作業環境の湿度管理も意外なポイントです。湿度が高いと空気中の水分が多いため、白化現象が起こりやすくなります。可能であれば、換気を良くして、湿度の低い環境で作業を行うのが理想的です。
ダイソーで買えるフィギュア用接着剤

フィギュアの修理をしたいけれど、専用の接着剤を買いに行く時間がない、あるいはコストを抑えたいという場合、ダイソーなどの100円ショップで手に入る接着剤も選択肢になります。
結論から言うと、製品を正しく選べば、応急処置や簡単な修理には十分使用可能です。
ダイソーでフィギュア修理用として考えられるのは、「多用途瞬間接着剤(ゼリータイプ)」や「エポキシ2液混合タイプ」などです。特にゼリータイプの瞬間接着剤は、前述の通り液だれしにくいため、フィギュアのような細かい作業にも比較的使いやすいでしょう。
ただし、注意点もあります。模型メーカーなどが販売している専門的な接着剤と比較すると、ノズルの形状が太く、量の微調整が難しい場合があります。また、製品によっては硬化後の透明度が高くなかったり、経年で黄変したりする可能性も考えられます。
したがって、あくまで簡易的な修理や、目立たない部分の補修用と割り切って使用するのが良いかもしれません。大切なフィギュアや、きれいに仕上げたい箇所の修理には、やはり模型用に開発された品質の確かな接着剤を使用することをおすすめします。
まとめ:フィギュアの接着剤の剥がし方の要点
この記事で解説した、フィギュアに付着した接着剤の剥がし方に関する重要なポイントを以下にまとめます。
- フィギュアの接着剤を剥がす方法は主に「熱」「薬品」「物理的削り取り」の3つ
- PVC製フィギュアは80度程度のお湯で温めると接着剤が剥がしやすくなる
- 過度な加熱はフィギュアの変形の原因になるため注意が必要
- 瞬間接着剤には「アロンアルフアはがし隊」などの専用リムーバーが効果的
- リムーバーはフィギュアの塗装を溶かすリスクがあるため目立たない場所で試す
- 安全性を優先するなら40度のお湯で時間をかけてふやかす方法がおすすめ
- 接着剤のはみ出しは固まる前に爪楊枝やティッシュで除去するのが最善
- 固まったはみ出しはデザインナイフやサンドペーパーで慎重に削る
- 接着剤の跡は細かいサンドペーパーとコンパウンドで磨くと綺麗になる
- フィギュアの分解も基本的にお湯で温める方法が有効
- ゴム系接着剤は有機溶剤で溶けるがフィギュアへの使用は非推奨
- フィギュア修理には液だれしにくいゼリー状の瞬間接着剤がおすすめ
- 接着剤が白くなる「白化現象」は硬化促進剤の使用で防げる
- 接着剤のつけすぎは白化と強度低下の原因になるため適量を心がける
- ダイソーの接着剤も簡易修理には使えるが品質面では専門品に劣る場合がある