お気に入りのねんどろいどを、自分だけのオリジナル仕様にカスタムしたいと考えたことはありませんか。特に、キャラクターの表情を自由に表現できる顔のリペイントは、改造の醍醐味の一つです。
しかし、いざ「ねんどろいど 顔 消す」と検索してみると、専門的な情報が多く、失敗や後悔を恐れて一歩を踏み出せない方も多いかもしれません。
既存のプリントを消す方法にはどのようなものがあるのか、リムーバーや除光液は使えるのか、さらには髪の塗装を落とすテクニックや面相を落とす際の注意点まで、疑問は尽きないものです。
また、消した後に自分で顔を描くための具体的なリペイントのやり方や、元の塗装を生かして上から描き加えるオーバーペイントという手法も気になります。
近年人気のねんどろいどフェイスメーカーについても、通常の製品との違いを理解しておく必要があります。
この記事では、そうした様々な疑問を一つずつ丁寧に解消し、初心者の方でも安心してカスタムの世界を楽しめるよう、基本的な手順から応用テクニックまでを網羅的に解説していきます。
この記事を読むことで、以下の点について理解が深まります。
- ねんどろいどの顔プリントを消すための具体的な道具と手順
- 通常のねんどろいどとフェイスメーカー製品のプリントの違い
- 消した後の顔をリペイントするための基本的な流れとコツ
- 作業時に起こりうる失敗と、その対処法や注意点
ねんどろいどの顔を消すための基本知識と注意点
- ねんどろいどのプリントを消す方法
- リムーバー・除光液で落とせる?
- ねんどろいどフェイスメーカーは別
- 完全に面相を落とす前の準備
- 髪の塗装を落とす場合の違い
ねんどろいどのプリントを消す方法

ねんどろいどの顔に印刷されたプリントを消す方法は、主に「溶剤を使って化学的に溶かす」方法と、「ヤスリなどを使って物理的に削り取る」方法の2種類に大別されます。
どちらの方法を選択するかは、対象となるパーツの種類や、どこまで消したいかによって変わってきます。
溶剤を使用する方法は、顔全体のプリントをすべて消し去り、完全な「のっぺら顔」にしたい場合に適しています。ラッカーシンナーなどの強力な溶剤を使えば、比較的短時間で作業を終えることが可能です。
ただし、溶剤はプラスチック素材であるPVCを傷めてしまうリスクや、強い臭いを伴うため、十分な換気と慎重な取り扱いが求められます。
一方、物理的に削り取る方法は、アイラインの一部だけを消したい、といった部分的な修正に向いています。2000番などの非常に目の細かい紙ヤスリを使い、消したい部分だけを丁寧に削っていきます。
この方法はパーツへのダメージを最小限に抑えられますが、時間と根気が必要な地道な作業となります。また、削った部分とそうでない部分の質感の違いが目立たないよう、仕上げの工程が大切になります。
リムーバー・除光液で落とせる?
フィギュアの汚れ落としや塗装剥がしとして、手軽に入手できるネイル用の除光液を思い浮かべる方もいるかもしれません。しかし、結論から言うと、一般的な除光液でねんどろいどのアイプリントを綺麗に落とすことは非常に困難です。
その理由は、ねんどろいどのプリントが非常に強固な塗料で印刷されているためです。多くの除光液に含まれるアセトンは塗装を溶かす作用を持ちますが、このプリントを完全に溶かすほどの力はありません。
むしろ、プリントはそのままに、顔パーツの表面に施されている肌色の塗装や、質感を整えるためのトップコート層だけをまだらに剥がしてしまう危険性の方が高いと考えられます。
結果として、プリントは消えずに肌がテカテカになったり、色ムラができたりする可能性があります。
より強力な模型用の溶剤であればプリントを落とすことは可能ですが、それぞれに特性とリスクがあります。
溶剤の種類 | 主な用途 | ねんどろいどへの効果 | 注意点 |
ネイル用除光液 | マニキュア落とし | プリントは落ちにくい | 肌塗装を傷める可能性が高い |
ラッカーシンナー | ラッカー系塗料の希釈・洗浄 | 通常のプリントは落とせる | パーツへのダメージリスクあり。換気必須 |
ツールクリーナー | 塗装用具の強力洗浄 | 通常のプリントは落とせる | 非常に強力。素材を溶かす危険性が高い |
Vカラーシンナー | ソフビ用塗料の溶剤 | 極めて強力。落とせる | PVCを侵食するため初心者には非推奨 |
このように、手軽な除光液の使用は避け、目的に合った適切な溶剤を選ぶか、削り取る方法を検討するのが賢明です。
ねんどろいどフェイスメーカーは別

自分だけのオリジナルフェイスを作成できる「ねんどろいどフェイスメーカー」は非常に便利なサービスですが、この製品のプリントは通常のねんどろいど製品とは根本的に仕様が異なります。
そのため、同じ感覚でプリントを消そうとすると、まず間違いなく失敗します。

フェイスメーカーのプリントは、UVインクジェットプリンタという特殊な機械で印刷されています。これは、インクを吹き付けた直後に紫外線を照射して、インク自体を樹脂のように硬化させる方式です。
このため、プリント層は非常に硬く、パーツ表面に強力に固着しています。
したがって、ラッカーシンナーはもちろん、Vカラーシンナーのような極めて強力な溶剤を用いても、このUVプリントを溶かして落とすことはできません。データベース化された情報の中でも、様々な溶剤を試したものの効果がなかったという報告が多数見られます。
もし、ねんどろいどフェイスメーカーで作成した顔のプリントを部分的に修正したい場合、唯一の有効な手段は、前述の通り「物理的に削り取る」方法です。
2000番以上の目の細かい紙ヤスリや、スポンジヤスリなどを使い、消したい部分だけを慎重に、少しずつ削っていく必要があります。
大変な手間と集中力が要求される作業ですが、フェイスメーカーの顔をカスタムする上では避けて通れない工程と言えるでしょう。
完全に面相を落とす前の準備
溶剤を使うにせよ、ヤスリで削るにせよ、面相を落とす作業を始める前にはいくつかの準備が必要です。これを怠ると、作業がスムーズに進まなかったり、パーツを傷つけたりする原因になります。
まず最も大切なのは、顔パーツの洗浄です。手で触れることで付着した皮脂や、飾っている間に積もったホコリなどが表面に残っていると、溶剤が均一に作用しなかったり、ヤスリがけの際に汚れを引きずってパーツに深い傷を付けてしまったりする可能性があります。
食器用の中性洗剤を使い、指の腹で優しく撫でるように洗ってください。洗浄後は、糸くずの出ない柔らかい布で水分を完全に拭き取ります。
次に、作業環境を整えることが重要です。特に溶剤を使用する場合は、その蒸気を吸い込むと健康を害する恐れがあるため、必ず窓を開ける、換気扇を回すなど、十分な換気を行ってください。
また、机などを保護するためにカッティングマットやビニールシートを敷いておくと安心です。
部分的にプリントを消す場合は、消したい箇所以外をマスキングテープで保護する「マスキング」という作業も有効です。
これにより、誤って他の部分の塗装を剥がしてしまったり、傷を付けたりするのを防ぐことができます。これらの準備を丁寧に行うことが、最終的な仕上がりの質を大きく左右します。
髪の塗装を落とす場合の違い

顔パーツだけでなく、髪パーツの色を塗り替えたい場合も、まずは既存の塗装を落とす必要があります。基本的な考え方は顔のプリントを落とす場合と同じですが、髪パーツ特有の複雑な形状への対応が求められます。
髪パーツは顔パーツと比べて凹凸が多く、入り組んだ部分が多いため、綿棒や布だけでは溶剤を均一に行き渡らせることが難しい場合があります。無理に力を入れてこすると、髪の毛の繊細なモールド(彫刻)を潰してしまいかねません。
一つの方法として、溶剤にパーツを直接漬け込む「ドボン漬け」がありますが、これはパーツの素材であるPVCを劣化させるリスクがあるため、長時間の漬け込みは避けるべきです。
より安全な方法としては、溶剤を染み込ませたティッシュペーパーやキッチンペーパーをパーツに巻き付け、ラップで包んでしばらく放置し、塗装を浮かび上がらせる手法があります。
塗装が浮いてきたら、使い古しの歯ブラシなどで優しくこすると、細かい溝に入り込んだ塗料も効率的に除去できます。この際も、モールドを傷つけないよう、力の入れすぎには注意が必要です。顔パーツ以上に、形状の複雑さを考慮した丁寧な作業が鍵となります。
ねんどろいどの顔を消した後のリペイント方法
- 失敗しない顔のリペイントの始め方
- 簡単なリペイントのやり方を解説
- 自分でオリジナルの顔を描くコツ
- 上から描くオーバーペイントという選択
- 安全にねんどろいどの顔を消す方法総まとめ
失敗しない顔のリペイントの始め方

プリントを綺麗に消し去った「のっぺら顔」は、まさにこれから自分だけの一枚を描くためのキャンバスです。リペイントで失敗しないための第一歩は、適切な道具を揃え、使用する塗料の特性を正しく理解することにあります。
リペイントで主に使用される模型用塗料には、大きく分けて「ラッカー系」「アクリル系」「エナメル系」の3種類が存在します。
これらは乾燥後の塗膜の強さが異なり、強い順にラッカー > アクリル > エナメルとなります。この強さの違いを活かすのが、リペイントの基本戦略です。
塗料の特性を活かした基本手順
まず、面相を描く前の下地として、ラッカー系のクリアー(透明)スプレーを顔パーツ全体に薄く吹き付けます。
これは、パーツ表面の細かな凹凸を埋めて滑らかにし、後から塗る塗料の発色を良くすると同時に、にじみを防ぐための重要な工程です。
次に、実際の面相(目や口など)は、最も塗膜の弱いエナメル塗料を使って描いていきます。
なぜなら、もし線を描き間違えても、エナメル溶剤を染み込ませた綿棒などで拭き取れば、下のラッカー系の下地を傷めることなく、描いた部分だけを綺麗に消して何度でもやり直せるからです。
この「セーブポイント」を作っておくことが、初心者にとって最大の安心材料となります。
筆は、タミヤの「モデリングブラシHF 極細」や、ウィンザー&ニュートンの「シリーズ7」など、穂先がよくまとまる面相筆を用意すると、細い線が描きやすくなります。
簡単なリペイントのやり方を解説
道具と塗料の準備が整ったら、いよいよリペイントの実作業に入ります。
焦らず、各工程を一つずつ丁寧に進めていくことが、綺麗な仕上がりへの近道です。基本的な流れは「下書き → 主線描き → 着色 → 仕上げ」の4ステップです。
下書きでアタリをつける
まずは、HBや2Bなどの柔らかい鉛筆で、顔パーツに直接、目や眉、口の位置を薄く描き込みます。このアタリがあるだけで、格段に作業が進めやすくなります。
もし、元のねんどろいどの表情を参考にしたい場合は、トレーシングペーパーを顔にかぶせ、元のデザインを鉛筆で写し取ります。
その後、紙を裏返してパーツに重ね、上から爪などでこすると、鉛筆の線がパーツに転写され、正確なガイドラインを作成できます。
主線を描き、色を塗る
下書きに沿って、エナメル塗料で輪郭線などの主線を描いていきます。
塗料は、そのままだと濃すぎて線が太くなりがちなので、専用の溶剤で少し薄めてから使うのがコツです。はみ出したり線が歪んだりした場合は、慌てずに乾燥を待ち、溶剤を付けた細い筆や綿棒で修正します。
主線が描けたら、白目の部分や瞳の色など、面積の広い部分を塗り重ねていきます。
仕上げのトップコート
全ての塗装が完了し、十分に乾燥したら、最後の仕上げとして、つや消しクリアーのスプレーを全体に軽く吹き付けます。これにより、エナメル塗料の光沢が抑えられ、製品のようなマットな質感に仕上がります。
また、塗装面を保護し、触っても色が落ちにくくなる効果もあります。
自分でオリジナルの顔を描くコツ

リペイントに慣れてきたら、既存のデザインを真似るだけでなく、完全オリジナルの表情を描いてみたくなるものです。オリジナリティあふれる魅力的な顔を描くためには、いくつかのコツがあります。
最も重要なのは、左右のバランスです。人間の目は非常に敏感で、ほんの少しのズレでも違和感を覚えてしまいます。
前述のトレーシングペーパーを使った転写テクニックは、左右対称のキャラクターを描く際に絶大な効果を発揮します。片方の目を描いた後、それを転写してもう片方のアタリにすることで、大きさや位置のズレを最小限に抑えることができます。
また、瞳の表現もキャラクターの印象を決定づける大きな要素です。単色でべったりと塗るのではなく、基本となる色を塗った後、それより少し明るい色や暗い色を重ねてグラデーションを作ることで、瞳に深みと奥行きが生まれます。
最後に、ハイライトとして白い点をちょんと乗せるだけで、キャラクターに生命が宿ったかのように生き生きとした表情になります。
眉の形や口の開き方、チークの有無や色合いなど、様々な要素の組み合わせで無限の表情が生まれます。色々な作品を参考にしながら、自分だけの表現方法を見つけていくのも、リペイントの大きな楽しみの一つです。
上から描くオーバーペイントという選択
「プリントを全部消して、一から描くのはハードルが高い」と感じる方には、「オーバーペイント」という手法をおすすめします。
これは、元のプリントを完全に消さずに、その上から直接色を塗り重ねたり、線を描き加えたりして表情をアレンジするテクニックです。
この方法の最大のメリットは、元のプリントが完成形のガイドラインとして機能してくれる点にあります。目の位置や大きさ、口の形などが既に決まっているので、バランスが崩れる心配が少なく、初心者でも安心して挑戦できます。
例えば、にっこりした口元に牙を描き加えたり、瞳の中に星の模様を追加したり、泣き顔の涙の線を足したりと、少し手を加えるだけでキャラクターの印象をガラリと変えることが可能です。
チークを好みの色で足したり、アイシャドウのように目の周りに薄く色を乗せたりするだけでも、オリジナリティが出ます。オーバーペイントを行う際は、作業前にパーツを中性洗剤で洗浄し、皮脂などを落としておくと塗料の乗りが良くなります。
元のプリントとの質感を合わせるため、完成後につや消しクリアーを吹いて仕上げると、より自然な見た目になります。まずはこのオーバーペイントから始めて、リペイントの感覚を掴むのも良い方法です。
安全にねんどろいどの顔を消す方法総まとめ

この記事では、ねんどろいどの顔プリントを消す方法から、リペイントの具体的な手順までを解説しました。
最後に、安全で確実なカスタム作業を行うための重要なポイントをまとめます。
- ねんどろいどの顔を消す主な方法は溶剤とヤスリ
- 一般的な除光液ではプリントは落ちにくい
- 肌の塗装を傷めるリスクがあるので除光液の使用は避ける
- フェイスメーカーのプリントは溶剤では消せない
- フェイスメーカーの修正は物理的に削るのが基本
- 作業前には必ずパーツを中性洗剤で洗浄する
- 溶剤を使う際は必ず十分な換気を行う
- リペイントは塗料の特性を理解することが鍵となる
- 下地にラッカー系、面相にエナメル系を使うのが基本
- 修正はエナメル溶剤を使い下の層を保護しながら行う
- 筆は穂先がまとまる面相用の極細タイプを選ぶ
- トレーシングペーパーで下書きを転写すると左右対称にしやすい
- オーバーペイントは初心者におすすめのカスタム手法
- 仕上げにつや消しトップコートを吹くと質感が統一され塗装も保護される
- 何よりも焦らず丁寧に作業することが成功への一番の近道