フィギュアスタイル運営者の「ぎゅあす」です。
大切なアクスタ(アクリルスタンド)に、うっかりテープの跡が…。お気に入りの推しの笑顔が、ベタベタした糊残りで台無しになってしまって困っていませんか?
ぎゅあす「アルコールや除光液で拭けばすぐに取れるかな?」なんて思ってしまいがちですが、ちょっと待ってください!
それはアクスタを修復不可能な状態にしてしまう、最も危険な間違いかもしれません。
アクスタは私たちが思うよりずっとデリケートなので、印刷面が剥げたり、本体に致命的な傷がついたりしたら最悪ですよね。
特に、時間が経って頑固なベタベタになった跡や、強力な両面テープの跡だと、どうしていいか分からず取れないまま放置しがちかも…。
もしかしたら、その跡は本体ではなく、まだ剥がしていない保護フィルムの上についているだけかもしれませんよ。
この記事では、大切なアクスタを絶対に傷つけずにテープ跡を安全に取る方法と、取り返しのつかなくなる「絶対やってはいけないNG対処法」を、私の経験も踏まえて詳しく解説していきますね。
- アクスタに使ってはいけない危険な薬品とその理由
- デリケートな印刷面を守りながら安全に取る方法
- ベタベタのレベル別・具体的な除去ステップ
- やっかいな両面テープ跡への対処法
アクスタのテープ跡を安全に取る準備
テープ跡を取ろうとして、逆にアクスタを壊してしまったら元も子もありませんよね。
まずは、なぜ多くの人がやりがちな「一般的なシール剥がし」の方法が、アクスタにとっては非常に危険なのか。その科学的な理由からしっかり確認しておきましょう。
ここを知っておくだけで、最悪の事態は防げますよ。
アルコール使用は絶対NG


まず、最もやってはいけない代表格が、消毒用アルコール(エタノール)やアルコール入りウェットティッシュです。これは絶対にダメです!
なぜなら、アルコールはアクリル樹脂(アクスタの主素材PMMA)と相性が最悪だからです。アルコールが触れると、「ケミカルクラック」という現象を引き起こす原因になります。
これは、一見大丈夫そうに見えても、アクリル内部の目に見えない力と反応して、無数の微細なヒビが入ったり、表面が白く曇ったりする現象です。一度起きてしまったら、もう二度と元の透明な状態には戻せません。
私も昔、アクリル製の別な小物を軽い気持ちでアルコールティッシュで拭いてしまい、台座が白っぽく曇ってしまった苦い経験があります…。
特に怖いのが印刷面です。アクスタの印刷インクはアルコールなどの溶剤に非常に弱く、触れた瞬間にインクが溶け出し、無惨に印刷が剥がれてしまう可能性が非常に高いです。絶対に、絶対に使わないでくださいね。
ケミカルクラックとは?
アクリル素材に特定の化学薬品(特にアルコール類)が接触することで、素材内部の残留応力(成形時に発生した歪み)が解放され、細かいヒビ割れ(クラック)や白化が起きる現象です。
素材メーカーの技術資料でも、アクリル樹脂(PMMA)へのアルコール類の使用は「応力下でクラックの恐れあり」として厳しく警告されています。(出典:湯本電機株式会社など)
除光液はアクリルを溶かす
マニキュアを落とす「除光液」も、もちろん絶対NGです。これは「ヒビが入る」どころの話ではありません。
除光液の主成分であるアセトンは、非常に強力な有機溶剤です。これはアクリル樹脂そのものを化学的に「溶解」させてしまいます。
つまり、触れた部分が白化し、表面がドロっと溶けて、修復不可能なデコボコの状態になってしまうんです。
「強力だから落ちそう」というイメージはありますが、アクスタにとっては「破壊」と同義です。
「アセトンフリー」と書かれた除光液もありますが、代わりに酢酸エチルなどの別の有機溶剤が使われていることが多く、これらもアクリルを痛める危険性が高いため、同様に避けるべきですね。
メラミンスポンジは傷の原因


キッチンやお風呂掃除で活躍する「激落ちくん」などに代表されるメラミンスポンジも、アクスタには危険です。
勘違いされがちですが、あれは洗剤の泡で汚れを落としているのではなく、非常に硬いメラミン樹脂の骨格で、汚れを物理的に「削り取って」いるんです。



いわば、超細かいヤスリ(研磨剤)と同じ。
アクリル樹脂の表面硬度は鉛筆硬度でいうと2H程度しかなく、非常に柔らかく傷つきやすい素材です。
ピカピカの陶器や金属には良くても、アクリルのように柔らかい素材に使うと、表面に無数の細かい擦り傷がついてしまいます。
アクスタの命である透明感や美しい光沢が永久に失われてしまうので、ベタベタ取りに使ってはいけませんよ。
もしうっかりアクスタに傷がついてしまった場合の対処法は、別記事で詳しく解説しています。


印刷面を傷つけずに守るには
テープ跡の除去で一番怖いのが、この「印刷面の剥がれ」ですよね。キャラクターの顔に傷が入ったら、もう立ち直れません…。
まず、作業を始める前に、ご自身のアクスタの印刷が「表面」にあるのか、「裏面」(またはアクリル板の中間)にあるのかを、指でそっと触って確認してみてください。
印刷面の位置を確認する方法
- 表面印刷:指で触ると、インクのわずかな凹凸を感じる。作業の難易度が最も高い(最新のアクスタは減ってきましたが、古いものや同人グッズなどは注意)。
- 裏面印刷:表面はツルツルで、裏側に凹凸がある。こちらが一般的。
もし、万が一テープ跡が「印刷面」に直接ついている場合、これから紹介する安全な洗剤や消しゴムを使う方法ですら、摩擦によって印刷を剥がしてしまうリスクがあります。
その場合は、後述する「テープでペタペタ取る方法」を、様子を見ながらごくごく優しく試す程度に留めるのが賢明かもしれません。印刷面への物理的な摩擦や化学的なアプローチは、最小限にすべきですね。
テープ跡が印刷面「以外」にある場合でも、作業中に洗剤などが印刷面に流れ込まないよう、アクスタは立てずに平らに寝かせ、作業範囲を限定して行うなどの注意が必要です。
保護フィルムの上か確認しよう


これは意外と見落としがちな、最重要チェックポイントです!
新品のアクスタや、一部の製品(特にイベント物販や海外製など)には、輸送中の傷を防ぐための薄〜い「保護フィルム」が、表面や裏面、さらには台座にまで貼られたままになっていることがあります。



もしテープ跡がアクスタ本体ではなく、その保護フィルムの上についているだけなら、対処は超カンタン。
そのフィルムごと剥がしてしまえば、新品同様の綺麗な本体が現れて、すべて解決です!
爪の先で端をカリカリと優しくこすってみたり、光に当てて反射の具合を見たりして、フィルムが貼られていないか、作業前に必ずチェックしてみてくださいね。
フィルムの端が見つかりにくい場合は、セロハンテープを端に貼ってゆっくり持ち上げると、フィルムも一緒に剥がれてくることがありますよ。
アクスタのテープ跡の安全な除去法
さて、危険なNG方法をしっかり確認したところで、いよいよ安全な除去方法です。
アクスタへのダメージを最小限にするため、ベタベタのレベルに合わせて「リスクの低い順(レベル1から)」に試していくのがおすすめです!
軽い跡は消しゴムで取る


まずは一番手軽で、ダメージのリスクが低い方法から。テープを剥がした直後の軽いベタベタや、糊残りの範囲が狭い場合に有効です。
使うのは、ごく普通の「プラスチック消しゴム」です。(よくある「MONO」などでOK。砂消しゴムや色のついた消しゴムはNGですよ!)
ベタベタしている部分を、とにかく力を入れずに、一方向に優しくこすってみてください。消しゴムの成分が粘着剤の油分を吸着・凝固させて、消しカスと一緒になってポロポロと取れてきます。
消しゴム使用時の注意点
- 必ず新品か、鉛筆などで汚れていない綺麗な面を使ってください。黒い汚れがアクスタに移ってしまいます。
- 強くこすりすぎは厳禁。摩擦によってアクリル表面に細かいスレ傷(光沢が失われる)がつく可能性があります。
- 作業後は、消しカスがアクスタ表面に残らないよう綺麗に取り除いてください。消しゴムに含まれる「可塑剤」という成分が、長時間アクリルに触れていると、ごくまれに変質させる(溶かす)可能性があるためです。
中性洗剤パックのやり方
消しゴムで取れないベタベタには、この方法が一番です。私が知る限り、これが最も安全かつ効果的な「王道」の方法だと自信を持っておすすめできます。
使うのは、ご家庭のキッチンにある「食器用の中性洗剤」です。(必ず裏面の表示で「液性:中性」となっていることを確認してください。弱アルカリ性や弱酸性のものはNGです)
中性洗剤に含まれる「界面活性剤」の力が、油性である粘着剤の分子の間に浸透し、粘着剤を乳化・分解して素材から浮き上がらせてくれます。
アクリル素材への攻撃性がほとんどなく、安全に清掃できるのが最大のメリットですね。
準備するもの
- 食器用中性洗剤(キュキュット、JOYなど)
- ラップフィルム
- 柔らかい布(マイクロファイバークロス、メガネ拭きなど)
- 水拭き用の布、乾拭き用の布
中性洗剤パックの手順
- まず、アクスタを平らな場所に寝かせます。(印刷面に洗剤が流れないようにするため)
- テープ跡のベタベタが完全に隠れるよう、中性洗剤をベタベタ部分に直接、多めに塗布します。(量はケチらないのがコツです!)
- その上から小さく切ったラップを隙間なく貼り付け、洗剤が乾燥しないように「パック」します。
- そのままの状態で10分〜20分ほど放置し、洗剤成分を粘着剤にじっくりと浸透させます。
- 時間が経ったらラップを剥がし、指の腹や柔らかい布(マイクロファイバークロスなど)で、優しくクルクルと円を描くようにこすります。浮き上がった粘着剤が取れてくるはずです。
- ベタベタが取れたら、水で濡らして固く絞った布で、洗剤成分が残らないよう入念に拭き取ります。(特に隙間に注意!)
- 最後に乾いた布で水分を綺麗に拭き取れば完了です!
もし印刷面が「表面」にある場合は、洗剤が印刷に触れないよう、綿棒などでベタベタ部分にだけピンポイントで塗布するなど、最大限の注意を払ってくださいね。
テープでペタペタ取る方法


これも手軽で安全な方法の一つです。「毒をもって毒を制す」ならぬ、「粘着をもって粘着を制す」ですね。残留した粘着剤を、より粘着力の強い新しいテープの粘着面に「転写」させて吸着し、取り除くイメージです。
使うテープは、ガムテープ(布製や紙製)やセロハンテープなど、粘着力が比較的強めのものが効果的です。
テープ跡(ベタベタした部分)に、新しいテープの粘着面を「強く押し当てて、勢いよく剥がす」のを繰り返します。
「ペタッ、ベリッ!」「ペタッ、ベリッ!」という感じで、場所をずらしながらリズミカルにやるのがコツです。根気よく繰り返していると、徐々にベタベタが新しいテープ側に移っていきますよ。
壁紙保護用のマスキングテープ(マステ)は、粘着力が弱すぎるので、この方法にはあまり向きません。逆に、マステの糊残りでベタベタしている程度なら、この方法や消しゴムで簡単に取れることが多いです。
ただし、この方法も万能ではなく、表面印刷のアクスタに対して粘着力が強すぎるテープを使うと、ごくまれに印刷ごと持っていかれるリスクがゼロではありません。
印刷面に近い場合は、まず目立たない端で試すなど、慎重さが必要です。
頑固な跡や取れないベタベタ
上記の方法(レベル1〜2)を試しても取れない、時間が経過してカチカチに硬化してしまったような頑固な跡には、少しだけステップアップした「レベル3」の方法を試します。
それは「熱」と「中性洗剤」の合わせ技です。
多くの粘着剤は、熱を加えることで柔らかくなり、粘着力が低下する性質があります。これを利用するわけです。ただし、前述の通りアクリル自体も熱に弱い(一般的に耐熱温度は80℃程度)ので、熱湯に浸けたり、ドライヤーの熱風を至近距離で当てたりする行為は厳禁です。一発で変形(反りや曲がり)します。



安全なやり方は以下の通りです。
- ヘアドライヤーの温風(強すぎない設定)を使います。
- アクスタから必ず15cm〜20cm以上は距離を保ちます。
- 温風を一点に集中させず、常にドライヤー本体を左右に振りながら、テープ跡周辺を広範囲に温めます。
- 「手で触れるくらいの温度」、「ほんのり温かいな」と感じる程度で加熱を止めます。(加熱しすぎは逆効果!粘着剤が溶けすぎてベタベタが広がる原因になります)
- 粘着剤が柔らかくなった直後(冷めないうち)に、すかさず【中性洗剤パック】や【テープでペタペタ】を実行します。
この熱を加える作業は、常にアクスタの変形リスクを伴います。
あくまで最終手段として、作業中はアクスタから目を離さず、温度には細心の注意を払って行ってくださいね。
両面テープの安全な剥し方


最後にして最大の難関が、強力な「両面テープ」の跡ですよね。粘着剤だけならまだしも、スポンジ状のテープ基材がこびりついてしまったり…。



これも基本は「頑固な跡」と同じ、複合的なアプローチが必要です。
まずはドライヤーの熱(安全な距離から!)で、粘着剤と基材をできるだけ緩めます。
その後、いきなり洗剤ではなく、プラスチック製のヘラ(お菓子作りのスケッパーや、使わなくなったプラスチック製のポイントカードなど、アクリル本体より柔らかいもの)を用意します。
このヘラで、アクスタ表面と水平に近い角度を保ちながら、残ったスポンジや粘着剤の塊を「削る」のではなく「押し出す」ように、力を入れずにそっと除去していきます。
金属製のヘラやカッター、爪の使用は絶対厳禁!
アクリル表面は非常に柔らかいため、これらを使うと一発で深い傷が入り、修復不可能になります。必ずアクリルより柔らかいプラスチック製のものを使ってください。
固形物(スポンジ基材)をある程度除去できたら、そこからが本番です。表面に残ったベタベタの粘着剤に対して、「中性洗剤パック」を実行します。
この場合、粘着剤が強力なので、パックの放置時間を通常よりかなり長く(30分〜1時間程度)取り、粘着剤の奥の奥まで洗剤を浸透させるのがコツです。
時間が来たらラップを剥がし、指の腹や布で粘着剤をこすり落とし、最後に残ったしつこいベタベタを「テープでペタペタ」で根気よく取り除けば、かなり綺麗になるはずです。
焦らずじっくり取り組んでみてください。
アクスタのテープ跡は安全に除去しよう
大切なアクスタのテープ跡、無事に取れそうでしょうか?
今回紹介した、アクスタを傷つけないための安全な手順を最後にもう一度まとめますね。
アクスタのテープ跡 安全除去ステップ
- 【最重要】まずは確認:「保護フィルム」の上ではないか必ずチェック!
- 【絶対NG】:アルコール、除光液(アセトン)、メラミンスポンジ、金属ヘラは絶対に使わない!
- 【レベル1】:軽いベタベタは「プラスチック消しゴム」か「テープのペタペタ」で優しく試す。
- 【レベル2】:中程度〜頑固な跡は「食器用中性洗剤+ラップ」のパックが最強・最も安全!
- 【レベル3】:両面テープなどは「ドライヤー(遠くから)」+「プラ製ヘラ」+「長時間の中性洗剤パック」で慎重に。
一番大切なのは、「焦らない」「力を入れない」「強力な薬品に頼らない」という3つの原則です。時間をかければ、安全な方法でもベタベタは必ず取れますからね。
そもそも、テープで壁などに直接貼り付ける展示方法は、こうした糊残りの原因になってしまいますし、落下や日焼けのリスクもあります。



今後は、大切なコレクションを安全に美しく飾るためにも、専用のディスプレイケースやスタンドを使うのがおすすめですよ。
この記事で紹介した方法は、素材の安全性を比較的考慮したものですが、世の中にあるすべてのアクスタ製品(特に特殊な加工がされたものなど)で100%の安全性を保証するものではありません。
作業を行う際は、必ず台座の裏側などの目立たない場所で試してから、大切なコレクションを守るためにも、自己責任の上で慎重に行ってくださいね。
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