お気に入りのフィギュアを飾っていたのに、いつの間にかポーズが崩れていたり、腕や足が垂れ下がっていたりしてがっかりした経験はありませんか。
フィギュアの組み立てがゆるいのはなぜなのか、この悩みは多くのコレクターが抱える共通の問題です。特に、関節が外れる、ボールジョイントが入らない・外れるといった症状や、武器などのパーツの差し込みが緩い状態は、見栄えを損なうだけでなく、破損の原因にもなりかねません。
この記事では、そうしたフィギュアがゆるい問題に直面した際に、失敗や後悔をしないための具体的な関節がゆるい時の 直し方を解説します。
ボンドを使った簡単な方法から、軸を太らせる本格的な補修、さらには関節を硬くするためのテクニックまで、幅広くご紹介します。また、100均アイテムで手軽に対策する方法も紹介するので、誰でもすぐに実践できるはずです。
大切なフィギュアを最適な状態で維持するための知識を身につけましょう。
- フィギュアの関節がゆるくなる根本的な原因
- 症状のレベルに応じた適切な対処法の選び方
- 100均アイテムでできる手軽な補修テクニック
- 修理作業で失敗しないための重要な注意点
フィギュアがゆるい問題の原因と対処の基本
- フィギュアの組み立てがゆるいのはなぜ?
- ポーズ中に突然、関節が外れる悩み
- ボールジョイントが入らない・外れる問題
- 関節がゆるい時の基本的な直し方とは
- パーツの差し込みが緩い時の応急処置
フィギュアの組み立てがゆるいのはなぜ?

フィギュアの関節がゆるくなる主な原因は、第一に「可動による摩耗」が挙げられます。
アクションフィギュアは様々なポーズを取らせて楽しむものですが、関節を動かすたびにパーツ同士が擦れ合い、少しずつ削れていきます。この摩耗が積み重なることで、パーツ間に隙間が生まれ、保持力が低下してしまうのです。
第二の原因として「経年劣化」があります。フィギュアの素材としてよく使われるPVC(ポリ塩化ビニル)やABS樹脂は、時間の経過とともに硬化したり、逆に可塑剤が抜けて柔軟性を失ったりします。
素材の状態が変化することで、ジョイント部分のフィット感が失われ、ゆるみにつながることが考えられます。
また、製品の個体差も無視できません。製造段階でのわずかな寸法の違いによって、新品の状態でもともと関節がゆるい個体が存在することもあります。これらの要因が複合的に絡み合うことで、フィギュアの関節はゆるくなっていくのです。

ポーズ中に突然、関節が外れる悩み
かっこいいポーズを決めて飾っていたはずが、気づいたら腕がだらりと下がっていたり、パーツが外れてしまっていたりするのは非常に残念な状況です。この「関節が外れる」という悩みは、特に保持力の低下が進行したフィギュアによく見られます。
特にボールジョイントで接続されている首、肩、股関節や、軸関節で接続されている肘、膝などは、頻繁に動かす部分であるため、ゆるみやすく外れやすい代表的な箇所です。
武器やエフェクトパーツといった重量のある付属品を保持させると、関節への負荷が大きくなり、さらに外れやすくなる傾向があります。
単にポーズが維持できないだけでなく、パーツが外れた際に落下してしまい、フィギュア本体や他のパーツを傷つけたり、紛失してしまったりするリスクも伴います。
そのため、関節のゆるみを感じ始めたら、早めに対策を講じることが大切になります。
ボールジョイントが入らない・外れる問題

ボールジョイントは、フィギュアに広く採用されている関節形式で、自由度の高い可動域を実現しています。しかし、その構造上、ゆるみに関するトラブルが起きやすい部分でもあります。
最も多いのが、受け側のパーツ(ソケット)が摩耗し、ボール部分をしっかりと保持できなくなり、少しの力で簡単に外れてしまうケースです。
逆に、ゆるみを解消しようとして補修を行った結果、「ボールジョイントが入らない」という問題に直面することもあります。これは、関節の軸を太らせるために塗布した接着剤やニスが厚すぎることが原因です。
無理に押し込もうとすると、ボールジョイントの軸が折れたり、受け側のパーツが割れたりする危険性があるため、注意が必要です。
ボールジョイントの補修は、少しずつ調整を重ねる繊細な作業が求められます。外れやすい状態と入らない状態、どちらの問題もフィギュアの可動を著しく損なうため、適切な知識を持って対処することが重要です。
関節がゆるい時の基本的な直し方とは
フィギュアの関節がゆるくなった際の直し方には、いくつかの基本的なアプローチが存在します。どの方法を選択するかは、関節のゆるみの程度や、補修にかけられる手間、そして失敗した際のリスク許容度によって変わってきます。
代表的な方法としては、まずジョイントの軸や受け側の穴に何かを塗布して摩擦を増やす、あるいは物理的に軸を太らせるという考え方があります。
具体的には、木工用ボンドや水性ニスを薄く塗り重ねてクリア層を作る方法や、瞬間接着剤を点付けして硬化させ、ヤスリで削って太さを調整する方法が知られています。
より手軽な方法としては、薄いテープを軸に巻き付けて太さを増す応急処置もあります。
これらの方法は、それぞれにメリットとデメリットが存在するため、自分のフィギュアの状態やスキルレベルに合わせて最適な直し方を選ぶことが、補修を成功させる鍵となります。
パーツの差し込みが緩い時の応急処置

関節部分だけでなく、手首や武器、装飾パーツといった「差し込み式」のパーツが緩くなってしまうこともよくあります。これらのパーツが緩いと、ポーズの幅が狭まるだけでなく、パーツを紛失する原因にもなります。
このような場合の最も手軽な応急処置は、セロハンテープやマスキングテープを利用する方法です。パーツの軸部分に、テープを細く切って一巻きするだけで、差し込みのきつさを簡単に調整できます。
テープの厚みでフィット感が変わるため、まずは一巻きしてみて、まだ緩いようであれば重ねて貼るなど、微調整がしやすいのが利点です。
この方法は可逆的であり、フィギュア本体を傷つけるリスクが非常に低いのが大きなメリットです。
ただし、あくまで応急処置であるため、テープが劣化したり剥がれたりすると、再び緩くなってしまいます。本格的な対策を行う前の一時的な対処法として有効な手段と言えるでしょう。
フィギュアがゆるい状態を解決する具体策
- 接着剤などで軸を太らせる方法
- 木工用ボンドで関節がゆるい対策
- ニスを活用して関節を硬くするテクニック
- 関節がゆるい悩みは100均グッズで解決
- フィギュアがゆるい悩みは正しく解消できる
接着剤などで軸を太らせる方法

関節のゆるみが進行している場合に有効なのが、瞬間接着剤を使って物理的に軸を太らせる方法です。
この手法は、摩耗して細くなったジョイント軸の体積を直接的に増やすことで、失われた保持力を回復させることを目的とします。
手順と注意点
具体的な手順としては、まず緩くなった関節の軸側に、爪楊枝の先などで瞬間接着剤を少量だけ塗布します。
このとき、全体に塗り広げるのではなく、点々と置くように付けるのがコツです。その後、硬化スプレーを使うか、数時間放置して完全に硬化させます。
硬化後、そのままでは太すぎて関節にはまらないため、カッターナイフのデザインナイフや紙ヤスリを使って、少しずつ削りながら太さを調整します。削ってははめてみる、という作業を繰り返し、ちょうど良い渋み(硬さ)になるまで微調整を行います。
この方法のメリットは、硬化した接着剤によって非常に強力な保持力が得られる点です。一方で、デメリットは調整の難しさにあります。
削りすぎると元の緩い状態に戻ってしまい、接着剤を付けすぎると関節が入らなくなるだけでなく、最悪の場合、パーツを破損させるリスクも伴います。
作業の際は、手などを切らないようカッターの扱いに十分注意し、換気をしながら行うことが大切です。
木工用ボンドで関節がゆるい対策
より安全かつ手軽に関節のゆるみ対策を行いたい場合、木工用ボンドが非常に有効な選択肢となります。小学生の図工などで使われる身近なアイテムですが、フィギュアの関節補修において優れた性能を発揮します。
この方法の原理は、ジョイントの軸に木工用ボンドを薄く塗り、乾燥させることで皮膜を作り、その厚みでクリアランス(隙間)を埋めて摩擦力を高めるというものです。
メリットとデメリット
最大のメリットは、その手軽さと安全性にあります。水性であるため扱いやすく、もし塗りすぎてしまっても、乾燥前であれば水を含ませたティッシュなどで簡単に拭き取れます。
乾燥後でも、お湯に浸ければ剥がすことが可能なため、やり直しがきくという安心感があります。また、乾燥すると透明になるため、見た目に影響が出にくいのも嬉しい点です。
一方で、デメリットとしては、瞬間接着剤ほどの強度や持続性はないことが挙げられます。頻繁に動かす関節の場合、皮膜が剥がれてきてしまい、定期的なメンテナンスが必要になることもあります。
しかし、その手軽さから、初心者の方が最初に関節補修を試すには最適な方法と言えるでしょう。コツは、一度に厚く塗るのではなく、「ごく薄く塗って乾燥させ、まだ緩ければもう一度薄く塗る」という作業を繰り返すことです。
ニスを活用して関節を硬くするテクニック

フィギュア愛好家の間で定番となっている補修方法の一つが、水性ニス、特に「パーマネントマットバーニッシュ」のようなつや消しタイプのニスを活用するテクニックです。
本来は絵画の保護などに使われる画材ですが、フィギュアの関節に適度な渋みを与えるのに非常に適しています。
使用方法と効果
使い方は木工用ボンドと似ており、緩んでいる関節の軸側、または受け側の隙間に、爪楊枝や細い筆、あるいは注射器型のスポイト(インジェクター)などを使ってニスを少量流し込みます。
流し込んだら、関節をグリグリと動かしてニスを全体に行き渡らせ、なじませるのがポイントです。その後、1日程度しっかりと乾燥させます。
この方法の優れた点は、単に軸を太らせるだけでなく、ニスが持つ適度な粘性によって、スムーズでありながらも粘りのある、心地よい硬さの関節に調整できることです。液体は乳白色ですが、乾燥すると透明になるため、仕上がりも目立ちません。
注意点として、ニスを一度に大量に流し込みすぎると、関節の隙間からはみ出して固まり、見た目を損なったり、最悪の場合は関節が完全に固着して動かなくなったりすることがあります。
また、余分なニスが垂れて意図しない場所で固まってしまう可能性もあるため、少量ずつ、的確に塗布することが成功の鍵となります。
各補修方法の比較表
補修方法 | メリット | デメリット | 主な用途・特徴 |
瞬間接着剤 | ・非常に強力な保持力を得られる ・持続性が高い | ・調整が難しく、失敗すると元に戻せない ・パーツを破損させるリスクがある | ゆるみがひどい関節の本格的な補修向け |
木工用ボンド | ・安価で手に入りやすい ・水性で扱いやすく、やり直しがきく ・乾燥後は透明になる | ・保持力や持続性は接着剤に劣る ・乾燥に時間がかかる | 初心者向けの簡単な補修や軽度のゆるみ対策 |
水性ニス | ・自然で心地よい関節の硬さ(渋み)を再現できる ・乾燥後は透明で目立たない | ・塗りすぎると関節が固着するリスクがある ・乾燥に時間がかかる | 可動性と保持力の両立を目指す場合に最適 |
関節がゆるい悩みは100均グッズで解決
本格的な補修材を揃える前に、まずは手軽に試したいという方には、100円ショップで手に入るアイテムを活用する方法がおすすめです。コストを抑えながら、フィギュアの関節のゆるみという悩みを解決できる場合があります。
代表的なアイテムは、これまでにも紹介した「木工用ボンド」や「水性ニス」です。これらは多くの100円ショップで取り扱いがあり、少量から試せるため、初めての補修作業に最適です。
また、手芸コーナーなどで見かける「UVレジン液」も有効な選択肢の一つです。UVレジンは、紫外線(UVライト)を当てることで硬化する樹脂で、これを関節の軸に薄く塗って硬化させることで、軸を太らせることができます。
メリットは、UVライトを当てなければ硬化しないため作業時間に余裕が持てる点と、硬化時間が非常に短い点です。ただし、別途UVライトが必要になるというデメリットがあります。これも100円ショップで入手可能な場合があります。
これらの100均グッズをうまく活用すれば、高価な専用品を使わなくても、多くの関節ゆるみ問題に対処することが可能です。
フィギュアがゆるい悩みは正しく解消できる

この記事のポイントをまとめます。
- フィギュアの関節がゆるくなる主な原因はパーツの摩耗や経年劣化
- ポーズの変更を繰り返すことで関節は徐々にすり減る
- アクションフィギュアの宿命ともいえる現象
- 関節が外れる、ポーズを保持できないなどの問題が発生する
- 補修の基本は失われた厚みを取り戻し摩擦を高めること
- 直し方には複数のアプローチが存在する
- 最も手軽なのは木工用ボンドを薄く塗る方法
- 木工用ボンドは水性で扱いやすく初心者におすすめ
- 瞬間接着剤は強力な保持力を得られるが調整が難しい
- 水性ニス(バーニッシュ)は自然な関節の硬さを再現できる
- 100均で手に入るアイテムでも十分に対策可能
- UVレジンは硬化が速く作業しやすいがUVライトが必要
- 補修作業は「少しずつ慎重に」が基本の考え方
- 一度に厚塗りせず、様子を見ながら作業を進めることが大切
- フィギュアがゆるい問題は適切な知識と手順で解決できる