大切なフィギュアを飾るフィギュアケースの掃除、皆さんはどのように行っていますか?ガラスケースやアクリルケースは、気が付くと指紋やホコリなどの汚れが付着しているものです。
しかし、間違ったお手入れ方法を試してしまうと、かえって傷を付けたり、静電気を発生させてさらにホコリを呼び寄せる原因にもなりかねません。
この記事では、素材別の正しいフィギュアケース 掃除の手順を詳しく解説します。アクリルケースとガラスケース、それぞれの特性に合ったお手入れ方法や、掃除に役立つブラシ、100均で揃えられる便利なアイテムも紹介します。
さらに、フィギュアケースにホコリが入らないようにする工夫や、掃除のしやすさを考慮したおすすめフィギュアケースの選び方まで、幅広く取り上げます。大切なコレクションを美しく保つための知識を身につけましょう。
- アクリルケースとガラスケースの正しい掃除手順
- 素材を傷めないためのNGなお手入れ方法
- 静電気やホコリを防ぐための具体的な対策
- 掃除に役立つ便利なアイテムとケースの選び方
フィギュアケースの掃除の基本
- アクリルケースのNGお手入れ方法
- ガラスケースの間違ったお手入れ方法
- 指紋や気になる汚れの落とし方
- 傷がついてしまった時の対処法
- 静電気の発生を防ぐコツ
- 掃除に便利なブラシと布の選び方
アクリルケースのNGお手入れ方法

アクリルケースは軽くて割れにくい反面、非常に傷つきやすく、特定の化学薬品に弱いというデリケートな特性を持っています。ガラスと同じ感覚で掃除をすると、修復不可能なダメージを与えてしまう可能性があります。
最も避けたいのは、乾いた硬いタオルで拭くことです。アクリル表面に付着したホコリや細かいゴミが研磨剤のように作用し、表面を引きずって無数の細かい傷(スリキズ)を付けてしまいます。
これは透明度を損なう大きな原因となります。
また、アルコール(エタノール)を含むウェットティッシュや、ガラスクリーナー、シンナーなどの溶剤を使用することは絶対に避けてください。
アクリル素材はアルコール類に非常に弱く、触れると「ケミカルクラック」と呼ばれる細かいひび割れが発生することがあります。
さらに、ガラスクリーナーに含まれる成分がアクリル樹脂を溶かし、ケース表面が白く濁ったり、曇ったりする原因にもなります。市販の静電気防止クリーナーも成分によっては同様のリスクがあるため、使用は推奨されません。
ガラスケースの間違ったお手入れ方法
ガラスケースはアクリルに比べて表面が硬く、傷には強いですが、特有の弱点があります。ガラス本来の高い透明度を維持するためには、いくつかの注意点を守る必要があります。
まず、水拭きを行った後に水分をそのまま放置することです。ガラス表面に残った水滴が乾くと、水道水に含まれるミネラル分などが白い痕(水垢)として残り、ガラス本来の透明度が失われてしまいます。
次に、汚れが頑固だからといって、毛の硬いブラシやスクレーパー(ヘラ)のような道具を使用することです。いくらガラスが硬いといっても、強い力で擦ったり、硬いもので削ったりすれば傷がつくことがあります。
特に、コーティングが施されているガラスの場合は、それらが剥がれてしまう恐れもあります。あくまで掃除の基本は、柔らかい道具で優しく汚れを落とすことです。
指紋や気になる汚れの落とし方

アクリルケースもガラスケースも、基本的な汚れ(ホコリ、指紋)の落とし方は共通する部分が多いです。ただし、使用できる道具や最後の仕上げに違いがあります。
アクリルケースの場合
まず、毛ばたきやブロアーなどで表面の大きなホコリを優しく取り除きます。次に、マイクロファイバータオルなどの柔らかい布を水に浸し、固く絞ってからケース全体を優しく拭き、残ったホコリを取り除きます。
指紋や皮脂汚れが水拭きだけでは落ちない場合、洗面器などの水に台所用中性洗剤を5%程度(水500mlに対しペットボトルキャップ4杯程度)溶かします。
柔らかい布をこの洗浄液に浸してよく絞り、ケース全体を拭き上げます。その後、きれいな水で絞った布で洗剤分を拭き取り、最後に必ず乾いた柔らかい布で水分を完全に拭き取ります。
この中性洗剤を使った方法は、静電気の発生を抑える効果も期待できます。
ガラスケースの場合
基本的な流れはアクリルケースと同様です。まず乾いた布や毛ばたきでホコリを落とします。汚れが気になる場合は、アクリルケース同様に薄めた中性洗剤を付けた布で拭き、その後水拭きと乾拭きを行います。
ガラスケース特有の頑固な汚れや曇りには、ガラスクリーナーを使用できます。ただし、ケースに直接スプレーするのは避けてください。
クリーナーの液体が台座などの木製部分や金属部分に付着すると、変色やシミの原因になるためです。必ず柔らかい布のほうにガラスクリーナーを適量吹き付け、その布で優しく汚れを擦り落としてください。
最後に、クリーナーの成分や水分が残らないよう、乾いた柔らかい布でしっかりと乾拭きして仕上げます。
傷がついてしまった時の対処法
万が一ケースに傷がついてしまった場合、素材によって対処法が大きく異なります。
アクリルケースの場合、ごく小さなスリキズであれば個人で修復できる可能性があります。市販されている「アクリル用研磨剤(コンパウンド)」と乾いた柔らかい布(または専用のスポンジ)、そして手を保護する手袋を用意します。

布に研磨剤を少量付け、傷ついた部分を中心に、小さく円を描くように優しく研磨します。力を入れすぎず、様子を見ながら作業を進めてください。作業後は研磨剤をきれいに拭き取り、傷が目立たなくなったか確認します。
ただし、これはあくまで浅い傷への対処法です。深い傷やヒビ割れは個人での修理は不可能です。また、色付きの台座や背面板には使用できません。研磨すると艶の度合いが変わり、色むらになってしまうため注意が必要です。
一方、ガラスケースに付いた傷を個人で修理するのは非常に困難です。市販のガラスリペアキットや研磨剤もありますが、ガラスの歪みや、最悪の場合割れにつながるリスクを伴います。
ごく小さな傷であっても、無理に自分で直そうとせず、専門の業者に相談するのが最も安全で確実な方法と言えます。
静電気の発生を防ぐコツ

特にアクリルケースは乾燥すると静電気を帯びやすく、空気中のホコリを吸い寄せてしまいます。掃除の手間を減らすためにも、静電気対策は重要です。
最も手軽な方法は、掃除の際に中性洗剤を用いることです。前述の通り、台所用中性洗剤を薄めた水で拭き掃除を行うと、界面活性剤の効果で静電気の発生をある程度抑えることができます。
より積極的に対策するなら、専用のアイテムを活用するのがおすすめです。例えば、TAMIYA(タミヤ)から発売されている「モデルクリーニングブラシ(静電気防止タイプ)」のような除電ブラシがあります。
このブラシは、導電性の繊維が組み込まれており、ケース表面をなでるだけで静電気を取り除き、ホコリが再付着しにくい状態を保ちます。フィギュア本体のホコリ取りにも使えるため、一つ持っておくと非常に便利です。
また、部屋の環境を見直すことも有効です。空気が乾燥していると静電気は発生しやすくなるため、加湿器などを使用して部屋の湿度を適切に保つことも、間接的なホコリ対策につながります。
掃除に便利なブラシと布の選び方
フィギュアケースや内部のフィギュアを掃除する道具選びで最も優先すべきは、対象物を傷つけない「柔らかさ」です。
ブラシ類
ケース表面やフィギュア本体のホコリを払うには、柔らかいブラシが欠かせません。
まず、ケース全体の広範囲のホコリを払うためには、昔ながらの「毛ばたき」が効率的です。
フィギュアの髪の毛の隙間や衣装のシワなど、細かい部分には「メイクブラシ」や「習字用の柔らかい筆」「絵具用の筆」などが適しています。これらは100円ショップでも様々なサイズや形状のものが手に入り、コストパフォーマンスに優れています。
前述の通り、「除電ブラシ」であれば、ホコリ除去と静電気対策を同時に行えます。
パソコンのキーボード清掃用などで販売されている「エアダスター」や「ブロアー」も、フィギュアに直接触れずにホコリを吹き飛ばせるため便利です。
布類
ケースの表面を拭く布は、繊維が細かく柔らかいものを選びます。
定番は「マイクロファイバークロス」です。極細の繊維が目に見えない微細なホコリや指紋汚れをしっかり絡め取り、素材を傷つけにくいのが特徴です。これも100円ショップで手軽に入手可能です。
「メガネ拭き」も同様に、デリケートな表面を拭くのに適しています。
逆に、使い古したタオルや雑巾など、硬い繊維の布や目の粗い布は、アクリルにもガラスにも細かい傷を付ける原因となるため、使用しないでください。
フィギュアケースの掃除を楽にする対策
- 100均アイテム活用術
- フィギュアケースにホコリが入らない工夫
- 掃除しやすいおすすめフィギュアケース
- 正しいフィギュアケースの掃除で美観を保つ
100均アイテム活用術

フィギュアケースの掃除やホコリ対策は、100円ショップ(100均)のアイテムをうまく活用することでも実現可能です。コストを抑えつつ、掃除の効率を上げることができます。
まず、掃除道具としては、前述の通り「マイクロファイバークロス」が非常に有用です。吸水性も速乾性も高いため、水拭きから乾拭きまで幅広く活躍します。複数枚ストックしておくと良いでしょう。
また、ブラシ類も豊富です。「メイクブラシ」や「絵具用の筆」は、フィギュアの細部のホコリ取りに最適です。
カメラ用品コーナーなどにある「ブロアー(手動で空気を送る道具)」も、フィギュアに触れずにホコリを飛ばせるため重宝します。
さらに、ホコリの侵入を防ぐ予防アイテムとして「すき間テープ」が挙げられます。特にドアや窓用の、毛足が短い起毛タイプ(モヘアタイプ)のものがおすすめです。
これをコレクションケースの扉の合わせ目や隙間にぐるりと貼り付けることで、外部からのホコリの侵入を大幅に減らすことができます。
フィギュアケースにホコリが入らない工夫
フィギュアケースの掃除を楽にする最も効果的な方法は、そもそもケース内にホコリを入れないようにすることです。物理的な遮断と、室内の環境整備が鍵となります。
最も簡単な対策は、ケースの隙間を塞ぐことです。前述の通り、100均などで手に入る「すき間テープ(起毛タイプ)」を扉の縁に貼り付けるだけで、密閉性を高めることができます。
数百円の投資で、面倒な内部の掃除頻度を格段に減らせる可能性があります。
次に、ケースの構造自体を見直すことです。ガラス製の大型コレクションラックなどは、構造上、扉の周辺に隙間ができやすいものも多いです。
ホコリ対策を徹底するなら、アクリルケース、特に嵌め込み式やマグネット扉式で精度の高い製品は、密閉性が高い傾向にあります。
また、部屋の環境整備も有効です。「空気清浄機」を設置し、室内の空気中に浮遊しているホコリ自体を減らすことは、根本的な対策となります。
フィギュアにホコリが付く前に除去するため、ケースの隙間から侵入する微細なホコリも減らす効果が期待できます。
最後に、設置場所の工夫です。ホコリは床に近い低い場所に溜まりやすい性質があります。したがって、フィギュアケースを床に直接置かず、棚の上などできるだけ高い場所に設置するだけでも、ホコリの付着量は変わってきます。

掃除しやすいおすすめフィギュアケース

これからフィギュアケースの購入を検討している場合、「掃除のしやすさ」や「ホコリの入りにくさ」を基準に選ぶのも一つの方法です。
ホコリ対策を最優先するならば、密閉性の高いアクリルケースがおすすめです。例えば、COOLTAKUに代表されるような組み立て式のアクリルケースは、各パネルを嵌め合わせて作るため隙間が生まれにくい構造になっています。
マグネット式の扉を採用しているものも多く、開閉が容易でありながら気密性を保ちやすいのが特徴です。
一方、ガラスケースはその透明度の高さと高級感が魅力ですが、特に大型のコレクションラックの場合、扉の構造上、隙間ができやすいモデルも存在します。
ガラスケースを選ぶ際は、扉の合わせ目の構造を確認し、必要であれば前述の「すき間テープ」での対策を前提に考えると良いでしょう。
メンテナンス性という点では、ケースのどの面からアクセスできるかも確認しておきましょう。
前面だけが開く「フロントオープンタイプ」のケースは、背面のフィギュアを取り出すのは大変ですが、前面のパネルを拭くだけの日常的な掃除は行いやすいという利点があります。
以下の表に、素材別の掃除に関する特徴をまとめます。
| 比較項目 | アクリルケース | ガラスケース |
| 主な注意点 | 傷つきやすい、薬品に弱い(アルコール厳禁) | 水垢が残りやすい、衝撃で割れる |
| ホコリの付きやすさ | 静電気が発生しやすく、付きやすい傾向 | アクリルよりは付きにくい |
| 掃除のしやすさ | 柔らかい布と中性洗剤が基本、乾拭き注意 | 水分を残さない乾拭きが必須、ガラスクリーナー可 |
| 傷の補修 | 浅い傷なら市販の研磨剤で補修可能 | ほぼ不可能(専門家推奨) |
| 密閉性(ホコリ対策) | 嵌め込み式や高精度な製品は密閉性が高い | 扉の構造(特に大型)により隙間ができやすい場合がある |
正しいフィギュアケースの掃除で美観を保つ
この記事のポイントをまとめます。
- フィギュアケースの掃除は素材(アクリル・ガラス)の特性を理解することが第一歩
- アクリルケースは傷つきやすく、アルコールやガラスクリーナーは厳禁
- アクリルの乾拭きはホコリを引きずり、スリキズの原因になる
- アクリルのひび割れ(ケミカルクラック)や白濁は薬品使用で発生する
- ガラスケースは水拭き後の水分放置が水垢や曇りの原因になる
- ガラスでも硬いブラシやヘラの使用は傷がつくリスクがある
- 掃除の基本は柔らかい布(マイクロファイバーなど)の使用
- 指紋や皮脂汚れには薄めた台所用中性洗剤が効果的
- 中性洗剤での拭き掃除は静電気防止効果も期待できる
- ガラスクリーナーはガラスケースにのみ、布に付けてから使用する
- クリーナー類はケースに直接噴射せず、布に付ける
- アクリルの小さな傷は専用研磨剤で補修できる可能性がある
- ガラスの傷は個人での修理が難しく、専門家への相談が推奨される
- 静電気対策には除電ブラシの定期的な使用が有効
- 100均のメイクブラシやマイクロファイバークロスは掃除に活用できる
- ケースの隙間に「すき間テープ」を貼るとホコリ侵入を減らせる
- 空気清浄機の設置は室内のホコリを減らす根本対策になる
- ケースはホコリが溜まりやすい床から離して設置する
